エリートと言うと、どんな人たちを思い浮かべますか?
洗練されたスーツを着て、大都市の高層オフィスビルのガラス張りのミーティングルームでミーティングしている人たち、のようなイメージをした私は古いでしょうか。
最近では世界を変える「ニューエリート」という存在の人たちがいるらしい、ということでさっそく読みはじめたのがこの本。
著者のピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、1975年に当時は社会主義だったポーランド生まれ。1989年に民主化されるまで、軍が国を支配し、鉄のカーテンの中で生きるような環境でした。
共産主義体制のもとでは、すべての人が平等に扱われます。こう書くと良いようですが、努力する人もしない人も同じ。いくら仕事で頑張っても給料は変わらない、逆に全くしなくても同じ給料をもらえるというのでは、やはりだんだんうまく行かなくなってしまうでしょう。
といっても、資本主義だからすべてが良いというわけではありません。実際、資本主義は転換期を迎えているのではないでしょうか。
世界の最富裕層1%の人が99%以上の富を独占しているのが、今の世界の現実です。途方もない話でなかなか想像がつきにくいですが、何かがおかしいと直感的に感じるはずです。
ピョートルさんによると、従来型のオールドエリートは、固定化された「地位」のようなもの。有名大学を卒業して教授になったり、一部上場の大手企業で出世したりと一生エリートの地位が保証されるという具合に。
でも、裏を返せば、オールドエリートには成長の余地がないと言います。
では、彼による成功の定義とは何かというと、「持続的に成長していること」。
たとえば、やりたい仕事をするために転職すること、普通の会社員が努力の末に起業すること、などなど。
一定期間で区切った成長度合いで見れば、成功者とみなされていない人の中にも実は成功者が存在していて、むしろ彼らが成功者とみなされる時代がやってくる、彼らの時代、つまり「ニューエリート」の時代が遠からずやってくるというのがこの本の内容。
第1章 2020年代の「成功者」とは?
第2章 つねに学び、自分をアップデートする
第3章 決断は直感で。早く動いて結果を出す
第4章 会議・チーム作りはアウトプットから逆算する
第5章 スプリントのリズムで体調を管理する
実は、ピョートルさん自身もモルガン・スタンレー、グーグルと渡り歩いてきたエリート。でも、生まれはポーランドの田舎の小さな村で、村の中で一人だけ高校に進学したものの、18歳の時に学費が工面できず学業を諦めてドイツに出稼ぎに行った苦労人。
でも諦めずその後3つの大学院に進学し、留学も実現。日本に来たのは千葉大学で日本人の消費行動を研究するためだったそうです。
そして、現在はプロノイア・グループ、モティファイ株式会社の経営者として、コンサルティング、コーチング、戦略・人事制度の改革、イントラプレナーシップ・グローバルリーダーシップの育成、組織開発などに取り組んでいます。
彼の会社では、接しているビジネスパーソンを5つの層に分類しているそう。
①変革層(社会に魔法をかけ、変革を起こす影響力を実際に持っている)
②実践層(「こうしたら変わるかな」「やっぱりこうしよう」という実験と工夫を繰り返し実践している)
③変えたい層(「変えなきゃ」「どうしたら変えられるのかな?」とおもいつつも実行力と勇気が足りない)
④気づいた層(「このままじゃダメだ。でもグーグルみたいにはなれないし」などと、課題を自覚しつつも、半ばあきらめていて行動力も低い)
⑤ゆでガエル層(現状で満足していて、変化の必要性に気がついていない)
あなたは今、どこの層にいますか?
Written by 藤村ローズ(オランダ)