こんにちは!アメリカでライフコーチングを行う野田リエです。
今回ご紹介する本は、「Job Therapy: Finding Work That Works for You(ジョブセラピー:あなたに合った仕事の見つけ方)」
ニューヨーク大学の社会心理学教授であるテッサ・ウエストによる、スキルだけでなく気持ちの充実に焦点をあてた、心理学者ならではの切り口で仕事選びを提唱する一冊です。
先月アメリカで出版されたばかりで、日本語訳の出版があるかは現時点ではわかりませんが、転職したいと考えている人にはとても役立つ内容ですので、先取りでシェアしたいと思います。
ウエスト教授は、もともとは恋愛関連の心理を研究をしていたそう。人々の仕事に対する好きと嫌いが入り混じった複雑な感情が、恋愛で抱くそれに似ていることに着目して、研究対象が広がったのだとか。
確かに、どんなに望んだ職に就いたとしても、どんなに望んだ人と関係を築いたとしても、何もかもパーフェクトで非の打ちどころがないというケースは稀でしょうね。
この本には、インタビューやアンケート結果が数多く盛り込まれているのですが、中でも衝撃を受けたのは「転職経験者の75%が転職を後悔している」というものです。
なぜ、ほとんどの転職が後悔を招いてしまうのか。
その理由は、リサーチ不足に尽きるとウエスト教授は結論づけています。
希望した職に就いたものの、実際に働き始めると思ってもみなかった仕事や責任があることが分かり、やりがいを感じる業務に割ける時間の少なさにストレスが増した人。
仕事の成果を評価されて昇進・昇給したものの、新たな役割では自分に合った働き方ができなくなり、以前のような成果が出せなくなってしまった人。
そんな転職直後のガッカリな落とし穴にはまらないための対応策として提案されているのが、以下の二つです。
①ストレスの原因を探るエクササイズ
②転職動機の傾向を見極めるチェックテスト
まず、翌日の予定のなかで自分がストレスを感じるだろうと「予想する」イベントや業務を仕事・プライベートに関係なく3つ書き出します。
次に、翌日の終わりに「実際に」ストレスに感じたことを3つ書き出します。
そして、自分がストレスになるだろうと思ったことと、実際にストレスに感じたことを比べてみます。これをできれば1週間続けます。
なんでも、大抵の人は予想した事柄と実際にストレスを感じた事柄が食い違うとか。こうして答え合わせをして認識の違いを正すことで、自分にとって真のストレスを把握できるようになるそうです。
例えば、自分はある書類の作成がストレスだと思っていたけど、実はそれを提出する〇〇さんと話すことの方がストレスだったとか。
転職したいと思っていたけど、一番のストレスはプライベートにあったとか。続けるほど効果が高いそうです。
11の設問にYes/Noで回答することで仕事に対する不満の傾向が4つのタイプに診断されます。
タイプ別に、仕事に満足できない原因とその打開策がまとめられています。
・アイデンティティ崩壊タイプ:天職だと思っていた仕事に疑問を持っている
・情熱喪失タイプ:以前は好きだった仕事なのに、もはやそう思えない
・キャパオーバータイプ:あれこれ引き受け過ぎて、手が回らない
・万年次席タイプ:どんなに頑張っても、評価されない
打開策は、恋愛関係と同様に「コミュニケーション」がカギ。
他社で同様の仕事をしている人に話を聞いてみるとか、本当に自分しかできない仕事なのかを検討するとか、じっくり自分の状況と向き合うことが提案されています。
収入もさることながら、気持ちの充実も踏まえて職選びをしたいと考えている方におすすめの一冊です。
わたしはキャリア・就職面接に関する相談も承っていますので、ご興味ある方はウェブサイトからお気軽にご連絡ください。
Written by 野田リエ(アメリカ)