シンガポールへとつづく国境の街、マレーシアのジョホールバルに住む私は、車やバスや電車で、たびたびシンガポールに買い物や食事、観劇や美術館のために行きます。
いくつか気に入っている、リピートしている場所があるのですが、その中でも圧倒的に美しく、1番好きな場所をご紹介したいと思います。
その名も、Atlas Bar。
Bugis駅からほど近いところにある、「パークビュースクエア」というビルの中にあります。
ちょっとユニークなデザインのこちらのビルは、バットマンの映画の架空の都市「ゴッサムシティ」にでてくるビルに似ていることから、「ゴッサムビル」とも呼ばれています。
このビルのテナントには、オーストリア、オマーン、アラブ首長国連邦、モンゴルなどの国の大使館や、多国籍企業が入っています。ビルのまわりには小さな庭園があり、アーティスティックなモニュメントが飾ってあります。
中に入ると、600平米を超える広さのラウンジ。どこを見渡しても美しいアールデコ調のインテリア。高い天井や壁にも装飾がほどこされており、真ん中には花が飾られ、ため息がでる美しさ。
高さ15メートルの3階建ての棚に納められている、世界中から集められた1300種ものジンコレクションは圧巻ものです。
ここは2019年度の「アジアのベストバー50」の5位、「世界のベストバー50」では8位にランキングされています。
ジンの品ぞろえが素晴らしいだけでなく、300種以上の銘柄のシャンパンや、1920代をテーマにしたカクテル、モクテル、コーヒーやお茶の品ぞろえも豊富。
メニュー表には、1920年代のギャッツビーの言葉などがちりばめられています。
ラウンジバーですが、朝10時からオープンしていて、12時まではクロワッサンとコーヒーが楽しめます。
12時以降はサンドイッチなどのランチメニュー、15時からはアフタヌーンティーも楽しめます。もちろんドリンクだけの利用も可。
そして夜はディナーコースもあり、キッズメニューもあるのです。
ランチやアフタヌーンティー、ディナーコースはウェブから予約できるのですが、その他はウォークインのみ。週末の夕方5時頃から行列ができはじめ、8時頃に行っても入れないほどの混む日もあります。
私は平日朝からお昼の時間帯のこのバーが大好き。
お客がちらほらしかいなくて、太陽の光で店内は明るくゴールドに輝き、ゆったりとくつろげるのです。いつ行っても何度行ってもここが大好き。ここ以上の美しいラウンジバーを知りません。(もしご存知の方がいたらどうぞ教えてください!)
3階には、同じパークビューグループが運営する美術館があります。
モダンアートなどの展示会を、入場無料で開催していて(現在は次の展示のための休業中)、アトラスバーとパークビューミュージアムをセットで訪れると至福です。
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こんな夢のように美しいバーのオーナーは、Parkview Group SingaporeのCEOである女性Vicky Hwang氏。ビルやホテルを香港、中国、ヨーロッパに所有する、香港財閥コングロマリットChyau Fwu Group創始者、CS Hwang氏の孫にあたります。
世界中で不動産事業を営むファミリーは、まさしくシンガポールを代表するクレイジーリッチなわけですが、彼女自身もグローバルな視野を持つスーパーキャリアウーマン。
アメリカ、香港、台湾のパスポートを持ち、台湾で生まれ、香港で育ち、アメリカで7年過ごして大学を卒業後、イギリスで7年間働きました。そしてフランスでベルギー人の夫に出会い、2013年にシンガポールに移住して、今は亡き祖父の最後のプロジェクト、このパークビュースクエアの事業を引き継ぎました。
お爺さんとお父さんは、彼女が子供の頃からビジネスミーティングに参加させ、意見を述べさせ、休暇の際にホテルに宿泊するときには、常にそれが研究対象、勉強の機会となったとのことです。
ビルを改装してアトラスを作るには、2年の構想と5か月の改築期間がかかりました。そして2017年3月の完成から今でも、アトラスのバーカウンターの裏の棚には、偉大なお爺さん、CS Hwang氏の肖像画が飾ってあります。
【Atlas Singapore】
WEB: www.atlasbar.sg
Address: 1/F Parkview Square, 600 North Bridge Rd., Singapore 188778
Mon – Thu: 10 am – 1am, friday: 10am – 2am , sat: 12pm – 2am
Sun: closed
Dress Code: Smart Casual from 5pm (no shorts or slippers)
Written by 土屋芳子(マレーシア)