お休みの日は家族でウォーキング!
郷に入れば郷に従え。。。で結婚生活、育児をする上で、イギリスのしきたりを尊重してきた私ではあるが、正直日本に帰って自分の家族といると本当に心からホッとする。
イギリス人主人の家族はおそらくフォーマルな方で、食事前にシェリー、午後1時にランチ、お茶は午後の4時半(きっかり)から。義母が席に着くまで誰一人食事に手をつけることはなく、食事の後は全員で片付ける。
子供達もテーブルを離れるときは’May we be excused?’ (もう席を立ってもいいですか?)とお伺いをたてなくてはならない。食事中はおごそかに他愛のない会話をひっそりと続ける。
これに比べて実家では母が台所に立ち、皆がワイワイご馳走をつまみながら、テレビの音をバックグラウンドにカジュアルな団欒をもつ。
実家がホッとするのは国際結婚のみに限らないとは思うが、「じゃあ、来週行くね!」と気軽に帰れない、実家がとっても遠いのは心から辛い!
他人と毒にも薬にもならない「他愛のない会話」をすることを英語ではSmall talkというが、これが一番きびしい。
特に駐在員として海外にいる場合、何かと「パートナー同席」の会食やパーティが多くなる。「上司も奥さんを連れてくるから、君も参加して」というケースだ。
「あー、もういちいち招待してくれなくていいのにいい」と思いつつ、家にこもって人を避ける暗い妻をもっている、と思われるのも可哀想なので渋々出かける。すると会ったこともない人と隣り合わせになり、このSmall talkをするはめになる。
概して欧米ではこうした場面でみな、Small talkを流暢にこなしている(ように見える)。
天気がどうした、政治がどうした、旅行がどうした、ペットがどうした、などとまあ特に中身のない、浅い会話をなんとなく冗談もちりばめながら延々と続ける。しかも楽しそうに。
この簡単なようで難しい社交スキルを英語でマスターするまでに数年はかかることはご理解いただけるだろう。
子供たちといっしょにジャパニーズクッキングに挑戦!
このように苦行のリストは延々と続く。もちろん、素晴らしい事も多々ある。
例の’Small talk’ から始まったフォーマルな関係も、何度か会ううちに親しくなり、今では家族ぐるみの友人になったというケースもあったし、英語を使わざるを得ない状況に自分を置くことで語学力は格段にのびた(はず)。
そして一番の利点は人間関係も仕事も、何もかもを日本という枠から離れて見ることができるようになった事だろう。
どんな小さな事でもこんな考え方もある、こんなやり方がある、と主人と話すことによって発見することが多い。全てに賛同するわけでもないし、「は!?」と思う時も多々ある。
それでも違う国籍のパートナーと結婚することによって私の視野は拡大に広がり、人間関係も広まった。
ただこの全てが国際結婚だから、という事ではない。日本人同士でもパートナーによって視野が広がり、新しい発見があり、お互いを尊重できて高めあう結婚は当然あり得るだろう。
私個人の経験で言えば、自分の視野を広げたい、いろいろな可能性を試してみたい、という私を受け入れてくれたパートナーがたまたまイギリス人であった。
そして相手の国籍に関わりなく、日常生活はバラ色ばかりではない。華やか国際結婚、とはつまりは幻なのだ。
もし読者の中にぼんやりと「国際結婚ってすてき」と思っている方がいらっしゃれば。。。’Small Talk’ をお忘れなく!!
Written by アレン真理子(イギリス)
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