オランダではチャイルドマインダーによる保育も行われています。
「gastouder(英語にするとguest parent)」と呼ばれる保育者が、自宅や子供の家で預ってくれる制度です。チャイルドマインダーは自分の子供の他に、4人まで同時に預かることができます。
少ない人数で自宅や自宅付近で預けられるので、融通が効きやすいのが特徴。
チャイルドマインダーによっては夜遅い時間や週末にも対応してくれるので、仕事の時間が不規則な親にとってはとても助かる存在です。
費用は上の2つより少し安く、1時間あたり5.5〜7ユーロ(688円〜875円)くらい。これと別に飲食代がかかります。費用は会社やチャイルドマインダーによって若干異なります。
私のオランダ語の先生は現役時代夫婦共にフルタイムワーカーで、子供が小さい頃にこちらを利用していたそうです。フレキシブルに対応してもらえて、とてもよかったそうです。
オランダの子供の預け先は大きく分けて以上の3つになりますが、他にも育児サポートしてくれる存在があります。
「オペア(Au pair)」は、ホームステイで現地の学校に通いながら、育児や家事のサポートをする留学制度。オペアは二十歳前後の女性が多く、子供の送迎や遊び相手などとして、より融通の効く育児サポートを受けることが可能です。
知り合いにも数組、オペアを受け入れている家族がいます。良いオペアさんに出会えるといいのですが、若者を家に受け入れるにはそれなりの苦労もあるようです。
そして、最後に忘れてはならないのはおじいちゃん、おばあちゃんの存在。
オランダでは平日の朝や昼間に、ベビーカーを押す祖父母をよく見かけます。公園で遊ぶ子供の姿を優しく見守ったり、習い事の付き添い、スポーツの応援に来ている姿も。
オランダでは保育料がかなり高額なため、自分の両親や義両親に育児を手伝ってもらうのもかなり一般的です。
同居をする習慣はありませんが、近くに住み、お互いに行き来しやすい関係を築いているようです。急な予定の変更や子供が急に体調を崩した場合にも頼みやすく、安心して預けやすいのはやはり身内ですよね。
祖父母にとっても孫と過ごす時間は良いようで、すでにリタイアしているオランダ語の先生もたまに孫を預かっては、その時の話を楽しそうにしてくれます。
祖父母も毎日となると大変ですが、負担になりすぎないよううまく助けを借りるオランダ人のバランス感覚は素晴らしいです。たまにディナーや旅行に招待して、ちゃんとお礼の気持ちを形にしているところもいいなと思います。
以上のように、オランダには日本のように公立の保育園や学童で長時間安く預かってもらえる制度はありません。
ですので、それぞれの家族の形態や都合を考慮しながら、子供を第一優先に子育てをしていて、そのことが「子供の幸福度世界一」につながっているのではないでしょうか。(ユニセフが行った調査でオランダは子供の幸福度が2007年、2013年、2020年の3回連続で第1位)
Written by 藤村ローズ(オランダ)
1 2