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ブラジル在住フルート奏者が伝えたいブラジル音楽と背景にある歴史と文化

2021年6月24日
ひろみ (ブラジル)

お祭りに欠かせないブラジル音楽は?

ブラジルでは、FESTA JUNINA(フェスタ・ジュニーナ / 6月のお祭り)という風物詩があります。

このお祭りで流れる代表的な音楽はブラジル北東部のカントリーミュージックForró(フォホー)。

フォホーという言葉の語源は、英語の「Music For All」(全ての人のための音楽)。それが訛って「フォホー(フォロー)」になったと言われています。

この音楽を演奏する時の典型的な楽器編成は、アコーディオン・トライアングル・ザブンバです。

アコーディオンという楽器はメロディ、ハーモニー、リズムという音楽の三要素を一人で表現できるので、ブラジル国内のほぼ全域でとても重宝されています。

ブラジルの有名ピアニストの多くが、はじめて鍵盤を触ったのはアコーディオンと言われるくらい、ブラジルではなくてはならない鍵盤楽器なのです。

また、フォホーで使われるトライアングルは一般的なものとは違います。

誰でも知っているトライアングルは三角形をした鉄の棒をまっすぐな鉄の棒で叩きますが、大きく太いトライアングルを直に持ち、その三角の中に棒を入れてかき回すように叩くのがフォホーの演奏法です。

フォホーの典型的なトリオバンド、聴きながら読めばブラジル感満載!

ザブンバは太鼓の一種で、これはアラブ系の移民がブラジルに持ち込んだものと言われていますが、胴の両面に皮が張ってある、太鼓としては世界中によくある形です。

ザブンバはこの表と裏のコンビネーションで低音リズムを作っていきます。トルコや東ヨーロッパで同じような太鼓で同じ演奏法がありますので、ルーツはそのあたりから来ているのでないかと言われています。

このフォホーが流れる6月のお祭りは、学校や地域コミュニティーで開かれます。子供達はダンスの練習をし、伝統文化を楽しむ中で音楽も覚えていきます。

フォホーは現在、若者向けにアレンジされたり、世界中で大規模なイベントやワークショップが年間を通して企画されています。特にヨーロッパで大人気なんだとか。

こちらも新しい風を取り入れて、次世代へと受け継がれていっているのですね。

「Forró Dance」で検索すると、世界中で行われたワークショップの様子が沢山出てきますので、是非チェックしてみてください。

 

お祭りの音楽といえば、やっぱりサンバ

左:サンパウロのサンバチーム「アギア・ヂ・オウロ」、右:日本人デザイナー・コシノジュンコさんデザインの衣装

お祭りの音楽といえば、サンバを忘れてはいけません。

コラムの冒頭にも書いたように、ブラジルはサンバ・カーニバルが有名ですが、もともとカーニバルはキリスト教の風習で、ヨーロッパ系の裕福なブラジル人たちが始めた祭りでした。

20世紀前半まではカーニバルの音楽は、「ブラジル音楽の種類」でも紹介したマルシャと呼ばれるマーチ、行進曲のような音楽が中心でした。

その後、1888年に奴隷制度が廃止されて、自由になったアフリカ系ブラジル人たちが職を求めてリオ・デ・ジャネイロに集まってきて、カーニバルにも参加するようになりました。

それをリオ市がオーガナイズして、各町内会にあるサンバの団体をパレードさせて、コンテストにしようという形になったのが1930年代なのです。

ブラジルではカーニバルは各州各地で行われています。しかし、世界的に有名なのが「リオ」のサンバカーニバルであるのは、このように歴史と文化の背景があったからなのですね。

サンバ・カーニバルは、もちろん私が住むサンパウロでも行われています。

2015年には私の故郷青森県から五所川原立佞武多の山車が海を渡り、サンパウロのサンバチーム「Escola de Samba Águia de ouro(SP)(アギア・ヂ・オウロ)」からカーニバルに出場しました。

日本とブラジル修好通商条約120周年にあたることから、演目テーマを『ブラジルと日本、120年の融合』としており、この時に作られたサンバチームの歌が日本とブラジルの友好の絆の意を込めた歌詞でした。

それに感動し、歌詞と踊りをバッチリ覚えて出場したのは今でも鮮明に覚えています。このように、音楽を通して日本とブラジルの友好関係を伝えるのは素敵だなと思います。

 

音楽で繋がる日本とブラジル

上:主催の皆さん、ブラジリアンプロダンサーの皆さんと

日伯友好交流といえば、ブラジルの音楽文化を日本人に知ってもらうためにブラジル日本青年商工会議所が主催した体験イベントが開催されました。

イベント当日、私は司会を務めさせていただき、ブラジリアンジャス奏者金田さんの伴奏でボサノヴァを演奏。

午前中はボサノヴァの歴史を聞き、ランチ時にはブラジル料理と伝統的な飲み物「カイピリーニャ」のワークショップが行われました。カイピリーニャは、カシャッサをベースにライムと砂糖を加えたカクテルです。

美味しいブラジル料理とお酒でリラックスしてもらいながら、私が演奏するボサノヴァ音楽を聴いていただきました。その後はブラジリアンプロダンサー達にフォホーのダンスステップを教えてもらい、参加者みんなで踊りました。

このようにブラジルの青年達が日本人の皆さんにブラジルを知ってもらいたい、体験してもらいたいという趣旨のイベントを作る事は友好の証として、とても良い行いだと思っています。

私もイベントのお話を聞いてから翻訳をしたり、連絡係になったりと積極的にお手伝いをさせていただきました。当時の体験イベントの様子はブラジル日本商工会議所のサイトからも見られます。

最後になりますが、ブラジルでは日本の音楽も人気です。演歌、民謡、J POPなど、老若男女のブラジル人が好んで聴いています。

カラオケが人気で、日系の地域コミュニティや全国、世界規模で行う日本の歌を歌うカラオケ大会もあります。

私も日本の音楽をステージで演奏する時もあり、有り難い事に沢山の方に聴いていただいています。このように音楽を通じて、ブラジルの方々と知り合えるのはとても嬉しい事です。

まだまだ勉強中のブラジル音楽、これからも沢山練習して日本へ世界へと発信していきたいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。それではまた!Tchau!!

Written by ひろみ(ブラジル)

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