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懐かしい味を世界で再現する。アゼルバイジャンでもできる梅干しもどきレシピ

2021年7月19日
岡田環 (アゼルバイジャン)

世界各地で私が作ってきたレシピ3つをご紹介

杏・プラム干し(白梅干し風)

まずは、いちばんオーソドックスなレシピを。日本とわりと気候が似た土地であれば、杏やプラムを塩漬けにすると、かなり似たものが作れます。手間と時間はかかりますが、いちばん梅らしい味わいの仕上がりに。

手順も材料も、青梅を漬ける場合とほぼ同じですが、甘い果実を使うので、クエン酸できりっとした酸味を足してあげるのがこつです。出来上がるまでには、だいたい一月程かかります。

嬉しいのは、副産物として梅酢が手に入ること。このために、私は杏やプラム干しを作っています。ここ、アゼルバイジャンでは、私はアルチャという青梅に似た果実を使っています。

地元の料理でも、塩漬けにしてピクルスのように食べる習慣があります。味わいも、少しフルーティーですが梅に似ていて、ソース状にしたものを、こちらでは揚げた魚料理に添えます。

アルチャは、トルコ系の商店がある地域では、初夏に取り扱いがあるかもしれませんので、店頭をチェックしてみてくださいね。

【材料】

・杏かプラム(食べごろの甘さで、柔らか過ぎないもの) 1kg
・塩(海塩がおすすめ) 160g(16%)
・クエン酸 20g(2%)
・ウォッカ 大さじ2

【作り方】

1. 果実は水洗いして、水気を丁寧に拭いておく。塩とクエン酸をよく混ぜ、そっと果実にまぶす。

2. ジップロックなどの丈夫な保存袋にウォッカを入れ、塩もまぶした果実を入れて全体にゆきわたらせる。

3. 朝晩2回、静かに表裏を返して、3日ほどで塩が溶けて梅酢が上がってくるので、それからは一日に一度くらいひっくり返しながら、3~4週間熟成させる。お天気の良い日に、ざるに果実を取り出して並べ、土用干しをする。

一日目は、一度裏返しながら日中だけ干す。袋に残った梅酢も、清潔な瓶などに入れて日に当てる。夜には取り込み、梅酢に果実を戻す。二日目は同様に、果実をざるに並べて干し(一度裏返す)、夜露に一晩あてる。三日目も同様にして、朝に取り込む。

【メモ】

杏のほうが梅に香りが近く、プラムは自然のきれいな紫色に仕上がります。クエン酸(Citric Acid)は、ジャム用のものが製菓売り場で手に入ると思います。

土用干しでは、雨や曇りの日は、水分を吸収するような紙(新聞紙など)を載せて室内で干し、お天気が良くなったらまた外に出します。残った梅酢も便利です。野菜を和えて漬物風にしたり、肉を煮たり、酢飯にしたり、万能です。

 

ルバーブの練り梅

次に紹介したいのは、ヨーロッパの北部ではなじみの深いルバーブを、塩でジャムのように煮て、練り梅を作るレシピです。

少し蜂蜜を足すのが、ぐっとこくと旨味を出すこつです。あれば、ゆかりを混ぜると更にねり梅らしさが出ますが、ルバーブだけでもびっくりするほどの梅干しらしさです。

ペースト状なので、ソースにするのにとても便利です。鰹節などを混ぜて、野菜の和え衣にしたり、蒸し鶏などの梅だれの材料にしたり、と使い勝手もとてもいいです。

【材料】

・ルバーブ 500g
・塩 50g(10%)
・蜂蜜 小さじ1

【作り方】

1. ルバーブは小口切りにして塩をまぶしてしばらく置く。

2. そうするとルバーブからの水分が出てくるので、鍋に移し(ほうろうやステンレスなど酸に強いお鍋を選んでください)、弱火でふつふつと煮込む。

3. だんだん柔らかくなると、木べらで簡単に崩れるので、潰しながら水分を飛ばして煮込んでいく。好みの硬さになったら、蜂蜜を加えて火を止める。

 

ドライトマトの醤油漬けの作り方

最後に紹介したいのは、いちばんお手軽なレシピ、醤油漬けにしたドライトマトです。

見た目も工程も全く梅干しとはかけ離れているのですが、その旨味としょっぱさ、酸味は梅干しに通じるおいしさがあります。

みじん切りにして、ご飯に混ぜておにぎりにしたり、お弁当のごはんの上にちょっとのせたり、そのままおつまみとしても。このドライトマトを漬けた醤油自体もおいしくなるので、一石二鳥です。

【材料】

・ドライトマト
・醤油

【作り方】

1. 清潔な小瓶にドライトマトを入れ、かぶるくらいの醤油を注いで、ドライトマトが柔らかくなるまで置く。食べるまで醤油に浸したままで大丈夫なので、冷蔵庫に常備しておくと便利です。

これまで、アゼルバイジャンをはじめとして、世界11カ国で生活してきた私ですが、こんなふうに現地で手に入る材料を工夫して、懐かしい日本の味を再現することに努めています。

また、現地の友人たちにも、手軽に手に入る材料でできる日本食にレシピとして好評です。生まれた国を遠く離れて、私達が繋ぐ日本の文化を、食を通じて実践できるのは、何よりも楽しいことだと思っています。

Written by 岡田環(アゼルバイジャン)

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