地元の人で賑わう店内。これでもコロナの影響で少ない方だとか
当時、ベルギー在住日本人はほぼ1,500人程度と言われていた。ちなみに2020年度のベルギー在留邦人数は5,780名。
オープン当初は「生の刺身が食べられる」と、ヨーロッパの日本人駐在員さん達に大変喜ばれ、パリ、ドイツ、オランダ、ロンドンからも足を運んでくれ、日本人のお客さんでいっぱいになった。
ただ、地元の人にはすぐに人気にはならなかった。「天ぷらないの?すき焼きないの?」とがっかりされて、入ってくれなかったそうだ。当時のベルギー人は寿司や刺身などを食べたことがなかったのだ。
そんな中、最初の地元のお客さんになってくれたのが、ベルギー王室の第6代国王、アルベール2世だったとか。
日本の皇室とも関係が深いベルギー王室の方々は、お寿司やお刺身にすでに馴染みがあり、懐かしがってくれて三辰のお寿司を好んで、足繁く通ってくださったのだとか。
アルベール2世は、ポーデュアン1世の弟であったため王位継承の予定はなかったのだが、ポーデュアン1世が突然崩御、王位継承権のあった皇太子フィリップ(現国王)が23歳という若さだった為に、アルベール2世が国王に即位したという経緯がある。
こんな事情で、当時はセキュリティーも少なく、よく気軽に来店されていたとのこと。もちろん、国王になってからはも多くのセキュリティーと共に来店は続いた。
今ではお孫さんの時代になっていて、プリンス、プリンセス、の時代になっているとか。「もう孫が来る時代になったよ、俺も69歳だからなあ」と照れながらも、誇らしげなマスター。
名物ちらし寿司が並ぶ
「店は地元人にも愛されなくてはいけない」と、寿司店からメニューを増やし、日本食店へ。ベルギー王室の御用達になったのも誇りではあるが、やっぱり地元の人にも愛されてこそ、お店の意義がある。
「天ぷら?すき焼き?焼き鳥?作れるよ、メニューに入れてみよう」と地元の人の目線になって、メニューを増やすことになる。
当時、日本人のお客さんは麻雀をするのが大好きだったので、2階席に麻雀部屋を設けた。そこで食べやすいのが、丼もの。天丼やカツ丼のメニューが加わる。
こうして、みんなが食べたいものをどんどんメニューに追加し、みんなの三辰さんが出来上がってきたのである。
マスター自慢の一押しメニューは、夜の35€のアラカルトメニューとのこと。この名物ちらし寿司の3倍の山の幸がたくさん惜しげなく出る目玉商品。
マスター曰く、「日本より新鮮だよ。魚はノルウェー、スコットランド、スペイン、トルコ、ギリシャから、どんどん釣れたばかりのものが沢山入るんだから」
今度のデートは、夜のアラカルトメニューを食べに行くとしよう。
【三辰 Yamayu-Santastu – Japanese Restaurant】
住所:Chau d’Ixelles 141, 1050 Ixelles
電話番号:+32 513 53 12
ブリュッセル中央駅(Gare du Midi)から地下鉄で15分ほど。最寄りの駅「Porte de Namur/ Naamsepoort」(ブリュッセルは、フランス語とオランダ語の表示があるので気をつけて)から徒歩5分くらい。
ランチの名物ちらし寿司は、予約が必要です。
Written by ホーゲデウア容子(ベルギー)
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