パンも定評があり、毎日通うお客様も多い
50人ほどの菓子職人を抱えていたマイユー店であったが、2000年頃、EU通貨の変更に伴い、大幅な法律の変更を余儀なくされる。
この時期に店を引き継がないかと、佐々木氏がオファーをもらうことになるが、50人もの菓子職人を引き連れての経営は、当時無理だと思ったし、大きな店の弊害も察していたので辞退したが、実力を認めてもらえたのは嬉しかった。
佐々木氏は辞職し自分の店を持つに至るが、その後、マイユー店はオーナーシェフが代わり、閉店に追い込まれた。
マイユー氏から学んだことで、座右の銘にしている言葉がある。「毎日をコンクールだと思え」。
日々全てのお菓子を精一杯、そしてコンクールでは、どのような姿勢でお菓子を作っているかも見られる。
当時、店にいた時はテーブルを日に150回以上は拭いていた。今でも仕事は半分が作る仕事、半分が掃除だと思っているとのこと。
今でこそ寝る時間が取れているが、店を開いた当初は夜の11時まで働き、朝2時には、工房に立つという生活だったという。
世界チョコレートコンクールで1位になった若手スタッフのディスプレイ
20代は技術を、30代は人との繋がりを、と走り続けてきたが、現在はスタッフの育成にも積極的で、頼れる経営者に徹している。
日本からヨーロッパの菓子づくりを目指し、佐々木氏を頼って門を叩く若手スタッフを積極的に受け入れていて、慣れない土地だろうと、住む場所の契約を手伝ったり、病気になれば病院に連れて行く。
交通費もままならない若手なので、必要ならば、コンクールに出るためにフランスまで車で送迎してあげることもある。
全てに精一杯の姿勢だ。自分が苦労したことは敢えてさせない、自分の学びを生かしてあげている懐の深さも魅力で、工房の若いスタッフの楽しそうな表情からも垣間見られる。
「店のために働くのではなく、自分の為に働くように」とアドバイスをしている。そうすれば全てのことが学びになって、何一つ辛いこともないし、自分の糧になる。
無理な仕事や、大き過ぎる仕事、信頼関係が持てないパートナーとの仕事には手を出さないということは決めているという。
スタッフが疲弊したり、一番大切にしている商品のクオリティーが落ちることは本望ではないので、質を大切にできる仕事のみを受けている。
宝石箱の様なチョコレートと、ほうじ茶の生チョコレート
お菓子作りに重要なものは、経験と感性。4割が基本技術、その先は創造性。製菓の技術は、ベルギーで学び、自分の味覚の基本は日本。ゆずや抹茶も、日本人の店として浸透して定番となった。
世界ウーマンへの方へのメッセージは、自分では、親にくっついてきて始まったことなので、自ら海外に出たりする人を尊敬しているという。
はっきり言えることは、誠心誠意やっていれば、どこでも大丈夫、道は開けるという事。皆さんもどこに行っても大丈夫、頑張って欲しい、との心強いお言葉をいただいた。
今年は、ベルギーPâtisserie-Chocolaterie Yasushi Sasaki のチョコレートはいかがですか?
【Pâtisserie-Chocolaterie Yasushi Sasaki】
https://www.patisserie-sasaki.be/
住所:Av.des Franciscains 10, 1150 Bruxelles
Tel:+32 2 779 05 68
Written by ホーゲデウア容子(ベルギー)
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