ビートルズの主演映画「マジカルミステリーツアー」に出てくるバスを模した観光バスで聖地巡礼
ビートルズストーリーのある、アルバートデッキから「マジカルミステリーツアー」というバスツアーが出ている。
私が乗り込んだその黄色いバスは、世界中からビートルズを求めに集まってきた人たちで満席だった。
30年前、ビートルズのアルバムを聴きこんでいた少女の頃。「ペニーレイン」や「ストロベリーフィールズ」という英単語はなんのことか分からず、ただの文字でしかなかった。
富山の田舎で、ヨーロッパ、イギリスの街並みすら想像すらすることができなかった私が、とうとうここにやってくる日が来たのか。一度は見てみたかった場所。
来てみるとなんてことない普通の一般的なイギリスの風景なのだけど、ここに立てたのはやっぱり感慨深かった。
このバスツアーでは、ペニーレインやストロベリーフィールズに加えて、ジョン、ポール、リンゴ、ジョージの家の前や、ジョンとポールが初めて出会った教会、ビートルズのメンバーたちが通っていたという床屋など、ファンなら一度見てみたい場所を2時間で巡ってくれる。
ビートルズファンならば外せないツアーだと思う。
ビートルズストーリーの中にはキャバーンクラブの当時の様子が再現されている
キャバーン・クラブへも足を伸ばしてみた。ビートルズがメジャーデビューする前に活動していたナイトクラブなのだが、オーナーが代わり改修され、当時の姿をなるべく残すようにして今も営業している。
このキャバーンクラブのあるマシューストリートには、たくさんのパブやクラブが軒を連ねていた。私の訪れた週末の夜は至る所でビートルズの演奏が流れてきていた。
10歩歩くと別の音楽が聞こえてくる。イギリスでこんなにライブ演奏をやっているお店が連なっている通りは他にあるんだろうか?ビートルズが活動していた60年前からきっと音楽を愛する人が集まっていたのだと思う。
60年以上たった今もなお、こんなにも音楽が溢れるストリートのままなのだ。キャバーンクラブには、ビートルズだけでなく、ローリングストーンズ、エルトンジョン、クイーンなど歴代の有名なミュージシャンが出演しており、ここにあるレンガにはその名前が刻まれている。
また、この通りにはビートルズミュージアムやジョンレノンの銅像がある。周辺を歩いていると、カフェの店名や、お店のショーウィンドー、落書きなど、いろんなところにビートルズの姿を見つけることができる。
この街をカメラ片手に散策して、思い出したことがたくさんあった。小さい頃住んでいた家の近くの時計から午後7時になると決まって流れ出していたのは「Yesterday」の物悲しいメロディーだった。
10歳の時に生き別れた父と合奏した「Let it be」のことはその後の人生で何度も思い出した。父の顔は思い出せなくても、その曲のメロディーだけはずっと忘れずにいた。
ビートルズの曲と私の人生が交錯し、その時の感情と共に、曲を聞けば人生のいろいろな場面が蘇ってくる。こんな風に心を動かされるのは私だけではないと思う。
60年の時を経ても色褪せない名曲を次々と生み出したビートルズ。きっと世界のいろんな人にそれぞれのビートルズストーリーがあるのだろうなと思う。ビートルズは偉大だな。
※『教養として学んでおきたいビートルズ』という本を読んでからビートルズの聖地巡礼をしてみたのですが、とても楽しめました。おすすめです。
Written by 伊藤結子(イギリス)
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