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キャリアコンサルタントが見る「コロナを隔て、悩みの種は変わった?」

2022年7月9日
岩井真理 (日本)

足りないことがわかった5つのサポート

海外在住者のお悩みの傾向を捉えたことで、以下の5つのサポートが足りなく、今後強化が必要だとヘルプデスクでは考えています。

1. メンタルケアだけでなく具体的なDV問題解決ができる窓口
2. オンラインで対応できる心理カウンセリング窓口(医療はすでにある)
3. 人権や法律的な問題発生の時介入できる保護団体
4. 帰国後のメンタルサポートサービス
5. 海外においての金銭的困窮を支援する窓口

世界のどこかに、こういった支援に力を貸して下さる方がいらっしゃれば、海外在住はもっと生きやすくなるのではないないでしょうか。

一方、日本でこの一年ご相談をお受けしている中で感じたのは、人間関係に関する問題を抱えている人が、とても多いと言うことです。そして、そのトラブルから、メンタルに支障をきたす人が少なくないことにも驚きました。

私の専門は「キャリア」ですが、そこに心の問題が切り離せなくなっていることを実感します。

ご相談の中味は、職場やコミュニティ、グループなどの人間関係がうまくいかない、上司や先輩が苦手、これはパワハラじゃないか?といったものが多数です。自分を取り巻く身近な他人との関係性について悩んでいることが多いです。

そこで「では、解決のために話し合いなどしましたか?」と訊くと、決まって「してません」「そんなこと言えません」と言う答えが返ってきます。そして、そのまま我慢したり、辛抱したりするので、次第に心が風邪をひいてしまいます。

 

海外在住の人と日本にいる人との大きな違い

海外在住の人と日本にいる人との大きな違いは、ここにあるように思います。

海外在住者は、ある意味自分の意見や考えをハッキリと伝えていくことで、我が身を守っていかねばなりません。主張しないと流されてしまうので、語学の壁を無理矢理乗り越えてでも、なんとかせねばなりません。

対して、日本社会では、「言わない、言えない、言わなくても分かるはず、、、」といった、以心伝心に期待しでいる部分が問題を長引かせているように思います。

言葉ではなくコンテクスト(文脈)に頼るコミュニケーションスタイル、つまり察したり空気を読んだりすることが推奨される文化に暮らすハイコンテクストカルチャーの日本らしい特徴のように思います。

海外に暮らすということは、大前提が「『多様な文化』の中に身を置く」ということです。

「それぞれが違っていて当たり前」というところからスタートして、それだけに、その文化の中にいる「自分」に矢印が向き、アイデンティティについて深く思いを巡らせる傾向が強いのかも知れません。

このように、どんなカルチャーの中にいるのかによって、お悩みの傾向は違います。傾向は違いますが、やはり誰もが人間関係を含めた自分を取り巻く環境を良くしたいと願っていることは事実です。

そこでよく考えてみると、この環境を作っているのは、周囲にいる他人ばかりではありません。その一部には自分自身がいます。つまりうまくいっていない人間関係の一端は、自分も担っているということです。

だとしたら、自分自身が変わること、コミュニケーションの取り方を工夫することなどで、その環境は改善するのではないでしょうか。

問題や悩みは外から降ってくるのではなく、実は自分の内側に種があるのだとしたら、まだまだ自分自身でできることがありそうだと思いませんか。

誰もが、世界中どこにいても、何をしていても、心地よい環境の中で暮らしたいからこそ悩んでいます。悩むことで変化できたら、それを「成長」というのだと、私は信じています。

Written by 岩井真理(日本)

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