陽子さん(土):トルコは世界三大料理の一つとしても有名ですが、今回はトルコの家庭の味をご紹介します。『レンズ豆のスープ』です。
日本でいうところの、お味噌汁と同じ立ち位置のスープと言えます。もう50を過ぎると、がっつりしたものよりも胃に優しい料理を好む傾向にありまして(笑)。
作り方は簡単で、レンズ豆を炒って鶏ガラやコンソメのスープと併せて煮込むだけ。タンパク質が豊富で優しい味なのでトルコ旅行中に食べ疲れした時にも是非、味わっていただきたいです。
日本のお味噌汁は各家庭で白みそ、赤みそ、合わせなどのこだわりがあると思いますが、トルコでも家庭ごとの自慢の味があるんですね。
写真にも赤みを帯びたスープ、黄色っぽいスープがありますがバリエーションが多いのが特徴です。
レンズ豆はオレンジっぽい色なんですが、よく炒ると白っぽくなってきます。私の場合は白っぽく炒ったものに牛乳を加え、ブレンダーにかけてポタージュ状にして、トマトソースがらみのオリーブオイルをかけていただくというのが好きなんです。
義実家のほうは、ブレンダーを使わず豆がつぶつぶ残っているものにトマトソースを混ぜ入れて、食べがいのあるいわゆる田舎風スープを好みますね。家族の中でも好みが違うというのもよくあります。
参加者:お味噌汁の立ち位置ということでいえば、おふくろの味を求める夫と奥さんの間で、揉めたりするなんてことがあったりします?
陽子さん(土):あり得ますね。でも週に何度も食べるスープだから今日は義母の味バージョン、今日は私スペシャルなんていうようにバリエーションを楽しめます。レンズ豆は何をやっても美味しいのでそれほど文句は出ないですね。
香織さん(伊):イタリアでもレンズ豆をミネストローネなどのスープに加えて煮込むというのはよくありますが、炒らないですね。
陽子さん(土):緑のレンズ豆はよく煮込みに使うけれども、オレンジのレンズ豆は炒るとすごく香ばしくて、家中がいい匂いになるので是非試してみて。母や義母から教わっても、必ずひと手間かけるというのがトルコ人風なので、好みの味を探すという楽しみもありますよ。
簡単に作れるということですので、トルコに思いをは馳せながらレンズ豆のスープを作ってみたくなりますね!
参加者:今回の4か国は奇遇にも宗教が分かれましたね。それぞれのプレゼンに文化や宗教や歴史的特徴が現れていて非常に面白かったです!台湾では昔「牛は人間の友達」と考えているところがあったと聞いたことがあります。だからルーローファンは豚肉なのかなと思いながら聞いていました。
陽子さん(土):トルコなんて牛みたら美味しそうって思うんですよ(笑)。ちょうど犠牲祭の時期ですし。
香織さん(伊):食から見える背景が面白いですよね。今日紹介したイワシ団子にはアラブ文化で持ち込まれた松の実やレーズンが入っていますね。冷蔵庫のなかった時代にイワシ(青魚)は足が早いのでミントを入れたとも聞いています。
参加者:なるほど~。勉強になります!
4か国の『自慢の現地メシ』座談会いかがでしたか?
プレゼンターさんの熱い思いに、それぞれの料理とその国の文化への興味が一層高まったのではないでしょうか?料理を味わう時にその背景を想像してみると世界がぐっと近くなるのかもしれません。
食からみえる世界はいくつもの発見や好奇心を育てますね。
世界ウーマンでは今後も世界の『自慢の現地メシ』への探求を続けます!
それでは最後もまた、ブリア・サヴァランの言葉で締めたいと思います。
「食事こそは、人が初めから決して退屈しない唯一の場である」
Written by 周さと子(マカオ)