文法のテストでは良い点数を取れるのに、会話ができない、聞き取れない、しゃべれないという方が非常に多いですよね?
読み書きができれば十分という方はそれで良いと思いますが、現地の人と会話を楽しみたい、少なくとも旅行先である程度不自由なく動き回りたいと思う方にとって、会話は必要ですから、ぜひ会話の力を磨きたいところです。
先に述べた動詞の活用と重なりますが、最初に現地の人と会話する時には、「自分のこと」と「相手のこと」で会話が成り立つと思います。
ですから、動詞は一人称単数を覚えたら、次に二人称単数を覚えることをお勧めします。それ程深い会話が成り立たないくらいの語学力の場合、三人称複数、つまり「彼ら」の話をすることはまずないからです。
過去形を勉強していた時、私は偶然スイス航空とのジョイントベンチャーで、4ヶ月間スイス航空のクルーと乗務していました。彼らはほとんど全員イタリア語も話せました、スイスの共通語の一つですから。
その時に1人の乗務員に「今過去形を勉強しているのだけど、動詞の変化がなかなか覚えられない」という話をしたら、「そんなことは気にするな、全部現在形でしゃべって、最後に昨日と付け加えればいい。それで十分通じるから」と言われたのです。
目から鱗の一瞬でした。それ以来、間違うことが怖くなくなりましたよ。
ただこれは初心者用であって、ある程度話せるようになったらきちんと時制尊重した文法が必要です。はっきり言って、20年くらいイタリアに住んでいるのに、このレベルの方も多くいるので。
もう一つ有効な会話の上達の方法は、「文章で覚える」というやり方です。
これは色々あるのですが、例えば旅行で買い物をする時、「他には何色がありますか?」「もう少し大きい(小さい)サイズはありますか?」など、文章で覚えてしまうのです。
そうすれば頭の中で文章を組み立てる必要なく、割とすらすらと出てくるようになります。私なら「この料理に合う、おすすめの白ワインは何ですか?」でしょうか?
耳が慣れるということも大切です。今の時代、ネットで簡単にイタリア語を聞くことができるでしょうから、とにかく聞く。意味がわからなくても聞く。子供の言葉の習得方法は耳からですから、それと同じです。
Radio Gardenと言うサイトでは、世界中のFM放送を聞くことが可能です。音楽が主流、ニュースが主流、色々あります。そこでイタリア語の放送を聞き流すのも一つの手ですよね、私の時代にはこんな便利な物はありませんでした。
目からに関しては、やはり読書です。少し読めるようになってきたら、どんどん本を読むのをお勧めします。
その時に絶対に童話や白雪姫などを選ばないように!!!これ肝心。大人になって白雪姫もないでしょう(笑)。好きな作家の推理小説などがよいでしょうか?
わからない単語はいちいち調べず、どんどん読み進めます。状況が許せば、音読が効果的。何度も出てくる単語で、どうしてもそれが分からないと先に進めそうもないと思った時だけ調べましょう。
それとは逆に、新聞の見出しや広告も効果的です。短いセンテンスに言いたいことが全部詰まっているので、この場合はわからない単語は全部調べましょう。こうやっていると抜群に語彙が増えていきます。
可能であれば、雑誌も有効です。好きな分野、お料理でもファッションでもペットのことでも、好きな分野の雑誌を手に入れたら、好きなページをしっかりと読んでいきます。
お料理雑誌なら切る、煮る、焼く、冷やす・・・など、一般の教科書では出てこない単語を覚えられますし、好きな分野の話をする時に大いに役立ちます。
言葉はコミュニケーションのツールです。ある程度文法がわかるようになってから会話・・・などと考える、「日本式」の語学習得法はこの際変えませんか?
とにかくきちんとした文章を作ることができなくても、とにかく単語でも良いので発しましょう。そうすると相手が間違いを指摘してくれることもあり、そうやって覚えていくのです。
私も最初の頃はみんなに「間違っていたら必ず指摘してね、教えてね」と言っていたものです。今ではイタリア人の文法の間違いを私が指摘してますが(笑)。
Written by 桜田香織(イタリア)
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