参加者は7名。初参加の方が数名と私のエクアドルでの生活に興味を持ってくれている友人たちだった。
当日も搬入する荷物が多く、駐車場のトラブルで多少の遅れはあったものの、アシスタントの友人たちとレンタルキッチンのオーナーの速やかな対応で無事にイベントはスタートした。
作った料理は「トマトと赤玉ねぎのサラダ」「セコ・デ・ガルバンゾ(ひよこ豆)」、「イエローライス」、「ビーガンパルメザンチーズと焼きバナナ」、「エクアドルカカオと豆腐のムース」。
もちろん緊張していたが、参加者のフレンドリーさと熱心に耳を傾ける姿勢に、わたしも夢中で話し、動き続けた。最後はみんなで試食しながらおしゃべりをして、楽しいイベントになった。
初料理イベントでバタバタだったので、皆のフィードバックがとても気になっていたが、皆が口をそろえて「とっても楽しかった」「美味しかった」と言ってくれ、私も嬉しかった。
家路についた頃にはクタクタだったけれど、久しぶりの「達成感」に浸った。
夫に報告したら、「おめでとう。よかったね。絶対うまくいくって思っていたよ」と喜んでくれた。遠くからサポートしてくれる彼にはいつも感謝。
そして、私には想像以上に学びの多い機会となり、参加者の皆さんにも本当に心の底からの感謝しかない。
この経験は私だけではなく友人にも影響を与えたようだ。私のアシスタントを務めた友人がバイト先を辞めてしまった。
聞くと、彼女は夜間の調理師学校通って卒業し、その後は実践を積むために日中のフルタイムの仕事の後、フランス料理レストランの厨房でバイトをしていた。でも厨房内でスタッフに厳しく接するオーナーの態度に鬱々としていたらしい。
イベントをアシスタントとして客観的に見て、「料理に関する仕事がこんなに楽しくできるなら、なにも我慢して働くことはないと思った」というのだ。
かなりびっくりしたが、もし今回の経験が何かの気づきにつながり、彼女の今後の生活や仕事観にポジティブな変化を起こせたなら、とても嬉しい副産物だと思った。
思い付きで企画した初イベントは、ワクワクから始まり、思わぬ事態への不安やバタバタ、そして最後は達成感で終わるというジェットコースターのようなプロセスを経た。
でも、もし誰かに「またやりたい?」と聞かれたら、答えは間違いなく「イエス」だ。
エクアドルに渡って習得したスキルや食文化を参加者と共有できたこと、準備の過程で友人の得意分野を生かしながら一緒に働けたこと、参加者の反応のすべてが貴重な体験だった。
今の時代、ネットで友人や世界中の才能があふれる人とつながることや、縁があればコラボレーションをすることだって可能だ。ずっと組織の枠の中で働いてきた私には、とても新鮮でワクワクする体験だった。
本格的に料理を始めたのはここ数年だけれど、自分が興味を持った分野でどれだけ成長できるのか、その過程でどんな人たちに会えるのか、自分の将来が楽しみになってきた。
Written by マットン美貴子(エクアドル)
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