シチリア島在住の桜田香織です。ようやく秋めいてきて、朝晩は涼しくホッとしている私です。
まだ夏の日差しが強かった9月、とある所から「シチリア産の本物のモッツァレッラがある」という噂を聞きました。
日本人にも馴染みのある「モッツァレッラチーズ」ですが、「本物」とはどういうことかご存知でしょうか?
本物は水牛の乳で作られます。そして本家本元はナポリを州都とするカンパーニャ地方。この地方の方々は「本物」しか口にしないと言う説もあります。
本物に対して偽物・・・と言う言葉は使いたくありませんが、普通に牛乳で作られている物も多く出回っていて、決して紛い品と言うわけではなく、しっかりと表示されていますし、価格も低めであります。
シチリアに長く住んでいる私ですが、シチリアで本物を作っているとはつゆ知らず、「ということは、シチリアにも水牛がいるということ?」と、早速どこで作っているのか調べてみました。
すると、我が家から車で30分くらいの所ではありませんか!これは行くしかないでしょう。
水牛とのご対面
到着したチーズ屋さん、かなり簡素な作りです。お店のオーナーにお話を伺ったら、なんとその方のお父様が25年前に始めたそうで、彼は二代目。
失礼かもしれませんが、本当に水牛がいるのかと伺ったら、100頭も飼っていらっしゃると。お店の裏にいるから見に行ってごらんと、気さくなオーナーのお言葉に甘えて、足を運びました。
いくつかの柵に分かれて、沢山の水牛がいました。子供産んだばかりと思われる母と子の柵、あと二つは年齢で分けられているようです。
水牛達は物おじしないというか、狂気心旺盛なのか、向こうから近寄ってきます。つぶらな瞳がとても可愛い。水牛なのだから当然水が必要なわけですが、このお店の近くには川があって、そこに連れて行くそうです。
モッツァレッラ以外のチーズも販売していましたが、私はとにかく「本物」を購入。1Kgで14€、日本円で約2000円です。円安の現在、換算すると高く思えますが、ユーロでこの値段はまずまずです。何せ本物ですから。
この辺りはパンも有名なので、パンも購入。帰宅して早速試食であります。朝できたばかりのモッツァレッラ、とてもおいしく大満足。
パスタに入れたり、色々食べ方はありますが、出来立てはやはりこのまま食べるのが一番ですね。
長年住んでいると、最初に感じた刺激はなくなってきます。それはきっとどこに住んでも同じでしょうか。
それでもしっかりとアンテナを立てていれば、新しいことに気付くことができると思いました。
少々マンネリ化していると感じていたシチリア生活ですが、こんな些細なことがきっかけで日常生活を見直したり、刺激を見付けたりできるのだと実感。後はフットワークの軽さでしょうか。
それだけで昨日とは違う1日を過ごせることができそうです。25年も存在していた水牛さん達に感謝した日でした。
【Zootecnica agricola vaniglia】
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Written by 桜田香織(イタリア)