シンガポール時代、海外勤務経験が乏しい状態で第二言語を使ってグローバルチームで仕事をする難しさを実感していたので、言語や経験値の面で日本人としてのバリューが出せるかを求人の段階で重視しました。
実際、日系企業では日本の基準に基づくサービス品質やマネジメントの観点で、日本人がリードすることで安心いただける場面があります。
また、日本との共同プロジェクトにおいては、2カ国間の架け橋となって双方の意思疎通をサポートする役割が求められることもあり、日本でのキャリアが長い私の経験が生かされると感じる場面がありました。
要は、「自分の売りをどこに定めるか」ということです。
「海外でキャリアを積みたい」とは言いつつも、40代ともなるとどのような仕事でもよいという訳にはいきません。
これまで積み上げてきたスキルや経験を元に、最終的に目指したいキャリア像に向かうための1つのステップとしてどのような経験を積みたいか、自分なりにキャリアビジョンを描くことを意識しました。
これは共働きでもそれぞれの所得を別のお財布で考えずに、「家族として家計が成り立つか」という視点を夫婦で共有してきたということです。
私たちは二人とも現地採用での転職だったため、現地の給与水準に従うこととなり、駐在待遇とは異なって、家賃や学費などの手当てはありません。
「海外でもう少しチャレンジしてみたい!」という私たちの希望で踏み切ったものの、息子たちの教育や生活が苦しくなってしまっては元も子もありません。
この点は夫婦で家計シミュレーションをしながら、転職活動を進めました。
転職の機会をお互いにとってより良いキャリア転機にしていくために、自分の軸とする基準や価値観をパートナーと共有しておくことはとても大切なことだと思います。
最終的には、夫と同じ日系のコンサルティング会社に「リファーラル(紹介制度)」で採用いただいたのですが、他にもいくつか現地の企業で採用面接を受けた際に、とても勉強になった点がありました。
それは、「自分のキャリアをストーリーで語れる」こと。
ある外資系企業の面接で採用担当者から、「これまでの経歴をワンストーリーとして語れることが大切」というアドバイスを受けました。
大学の専攻科目を選んだ理由にまで遡り、
・大学で何を学び、なぜ今のキャリア選択をしたのか?
・どのような経験から何を学び、これからどう生かしたいのか?
・この企業にとってあなたを採用する意味は?
など、これらをワンストーリーで語れることが大切だと教わりました。
その意図としては、一連のストーリーで語られることによって、一見異なるように見える経験の数々に関連性を持たせることができる、つまりキャリアの一貫性を示すことができます。
それまで人生の各フェーズでの経験や決断を、一連のキャリアストーリーとして意識したことがなかったため、当時の私は面食らってしまいました。
しかしながら、よく考えれば、私たちの人生は一つの道筋の上にあるわけで、すべての出来事や経験はワンストーリーで語れるはずです。
もちろんこれまでの経験や特化スキルも重要ですが、ご自身が語るキャリアストーリーからは、その人の人となりがよく分かります。
キャリア採用の場合は、若い頃のようにポテンシャルだけで採用されるケースは希ですから、共に働く相手としての理解が大切です。
ぜひこれを機にご自身のキャリアを振り返り、ストーリーとしてまとめてみてはいかがでしょうか?
転職に限らず、次のキャリアを考える上でも、自分の歩みを進める先の一歩を決める際にもきっと役に立つはずです。
一人で進めるのは難しいなと感じたら、こちらからぜひご相談くださいね。
Written by 大野由佳(ベトナム)
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