【前回】のコラムで「オーストラリアの定年制」について書きましたが、皆さんはどのような感想を持ちましたか?「定年」といえば、次に気になるのは「年金」ではないでしょうか。
オーストラリアには「老齢年金」と「確定拠出年金」の二種類の年金制度があります。今回はオーストラリアの2種類の年金について、日本との違いを含めて紹介します。
まず、日本とオーストラリアの老齢年金制度の最大の違いは、保険料の支払いの有無です。
日本では年金保険料を毎月国に納めますが、オーストラリアでは保険料の支払いはありません。オーストラリアの老齢年金は、国民が支払う税金で賄われている社会保障制度です。
ここで、オーストラリアの老齢年金の受給資格を簡単に紹介しますと、次のようになっています。
・オーストラリアの市民権、永住権などのビザで、オーストラリアに10年以上居住している。
・受給資格年齢は67歳。
・受給申請手続き時の収入や資産の審査がある。
受給額は受給申請時の収入や資産により変わりますが、通常レートは下記の通り。
・パートナーがいない個人 : 月額 $2,232.60(2024年7月現在のレートで、約242000円)
・パートナーがいる個人 : 月額 $1,682.40(2024年7月現在のレートで、約182000円)
ちなみに日豪保障制度により、日本とオーストラリアの老齢年金は一定の条件を満たせば通算できます。これはオーストラリア在住日本人にとって嬉しい制度です。
こちらも老齢年金と並び、定年退職後の重要な資金となる「確定拠出年金(Supperannuation/スーパーアニュエイション)」があります。
こちらは、積立保険料を財源とする退職年金保障制度です。オーストラリアで働いている人々は、各自で選択した「スーパーファンド」に加入しています。
私もオーストラリアで初めての仕事が決まった時に、当時の雇用主から勧められたスーパーファンドに加入し、それ以来ずっと同じスーパーファンドを使っています。
確定拠出年金制度では、雇用主が被雇用者のスーパーファンドの口座に積立保険料を支払うことが、法律で義務付けられています。
例えば私の場合、雇用主が給料日ごとに私のスーパーファンドの口座に積立保険料を入金します。
積立保険料は「税引前の給料」の11.5%(2024年7月1日現在)の金額で、給与天引きではなく、給与に上乗せされる形です。
そして、スーパーファンドの運営会社は口座内の資金を資産運用し、私の退職年金を増やしていきます。ですので、確定拠出年金は「投資ファンド」と言えます。
ちなみに、このスーパーアニュエイションの受給資格年齢は下記の通りです。
・55歳から60歳(Preservation age) : 仕事を退職していれば受給できる。退職していない場合は条件付きで受給できる。
・60歳以上 : 特別な条件なしで受給できる。
*Preservation ageとは、確定拠出年金にアクセスできる最低年齢で、生年月日により異なります。
いかがでしたか?日本とオーストラリアの年金制度にはかなり違いがありますね。
オーストラリアでも日本でも、年金は人生の大きなテーマの一つです。
年金のことをよく知って、仕事と年金を上手に組み合わせて、いくつになっても楽しく生きていきましょう!
参照元:Service Australia、在日オーストラリア大使館、Moneysmart.gov.au
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Written by 野林薫(オーストラリア)