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予期せぬキャリアチェンジ!カナダで会社員からフリーランス通訳の道へ

2024年7月13日
ファンフェーン庸子 (カナダ)

何でも通訳できるは大きな誤解!通訳として心がけていること

「通訳はどんな場面でも、何でも通訳できる」と思われがちですが、実はそれは大きな誤解です。

通訳は専門的な会話内容を、スピーカーと聞き手の両方に伝えるのが役目ですので、その分野の専門家でない私たちが知らない単語や言い回しが頻出します。

そこでどうするかという話になるのですが、そういう時の正解は「ご本人に確認する」です。通訳業界の第一線で活躍されている方も、わからないことはその場で発言したご本人に質問されています。

通訳としてのプライドも多少はあるので、できる限り仕事中の質問は避けたいところですが、自分が理解せずに曖昧に訳して混乱を招いたり、間違った情報を伝達する方がよっぽど危険を伴います。

ですので、たとえ一日しかお仕事をしない時でも、スピーカーさんと通訳双方が何でも質問し合える雰囲気作りを心掛けます。

この仕事を始める前は、通訳は「一匹狼」というイメージがありましたが、さまざまな方との接点が多くあり、当たり前ながら一人では成り立たない職業ですので、チームワークと信頼関係を築くことを優先事項にしています。

先日、1930年代の日本人のインタビュー録音を書き起こして英語に直すという仕事がありました。

これは普段のリアルタイムな通訳ではありませんが、バーバル(口答)という点では、こちらも通訳の仕事のカテゴリーに入ると思います。

こうした作業を通して、現在だけではなく過去に活躍された日本人の声を英語話者に届けられ、歴史の研究のお役に立てることもまたこの仕事の素晴らしいところだと思っています。

 

AIには補完できないスキル

「通訳以外の時間はクライエントとは距離を保ちなさい」という先輩もいらっしゃいますが、それもケースバイケースで判断するべきだと私は思います。

例えば医療通訳の際には、「海外での受診」というストレスのかかる環境にいる患者さんに安心してもらえるよう、私は雑談のお相手をします。

まったく日本語が通じない状況で業務を行わなくてはならない方には、せめて仕事以外の時間はリラックスしてもらえるように、世間話をしたり愚痴の聞き役になったりもします。

昨今、AI(人工知能)翻訳機能が凄まじい勢いで台頭しており、通訳業界の危機とも言う声も聞きますが、このようなヒューマンスキルはまだまだAIには真似できないエリアですし、しばらくは取って代わられることはないと考えています。

これからは経済の多様化により、通訳もそれに随時対応できる人間が求められると思いますので、常にさまざまな業界に好奇心を持ちながら、勉強も怠らずにこの仕事を続けていきたいです。

次回は、もう少し具体的に通訳の仕事内容について書きたいと思っていますので、ぜひお付き合いいただけると嬉しいです。

Written by Yoko van Veen(カナダ)

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