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無理なく働き続ける!オーストラリアのFlexible Working Arrangement 制度

2024年8月5日
野林薫 (オーストラリア)

人生の節目ごとに働き方にも変化が必要

私達の人生の大きな部分を占める仕事。長い人生を歩んでいるといろんな出来事が起こり、時には今までの仕事のパターンを変える必要も出てきますよね。

家族が増えたり、家族の介護や世話が必要になったり、自分の体力や健康状態にも変化が出ることもあります。

そんな時に好きな仕事を辞めることなく、できるだけ無理なく続けていくことができると嬉しいですよね。

日本でも「フレキシブルワーク」の導入や「働き方改革」への取り組みがなされているようで、仕事への概念がどんどん変化しているのを肌で感じます。

オーストラリアも例外ではなく、自身のライフスタイルに合った働き方を模索する人々が増えてきました。

今回はそんなオーストラリアの「Flexible Work Arrangement」制度について紹介します。

 

Flexible Working Arrangementとは?

Flexible Work Arrangementとは、オーストラリアの職場関連法の順守を規制する機関であるFair Work Ombudsmanが監督する、「個人個人のライフスタイルに適応する働き方を推奨する」制度です。

この制度は、ライフスタイルの変化などにより今までの働き方に無理や不都合が生じた場合、雇用主に対して、労働時間、労働形態、勤務地の変更を申請できるというもの。

同じ雇用主の下で1年以上働いたフルタイムとパートタイムの職員が申請できます。アルバイト職員も一定の条件を満たせば申請が可能です。

例えば、急に家族の介護が必要になったとすると、労働時間の削減、ジョブシェアリング、家から近い職場への移動などの申請ができ、生活スタイルの変化に伴った働き方へ変更できます。

もちろん、雇用主側との話し合いや就業規定の準拠は必須ですが、雇用主側もできる限り職員の申請に応える努力をすることもFair Workに謳われています。

 

申請条件と制度のメリット

ここで、Flexible Work Arrangementを申請できる条件を挙げてみましょう。

同じ雇用主の下で最低1年間働いていれば、次のような場合に申請できます。

・ 学童、もしくはそれ以下の年齡の子供を世話する親である
・ 家族の介護をしている
・ 申請する本人が障がいを持っている
・ 55歳以上である
・ 妊娠している
・ 家庭内暴力を受けている、もしくは、家庭内暴力を受けている近親者や家族のサポートをしている

上記のどれかに当てはまる場合、希望する変更内容と理由を書面で雇い主に申請します。

雇い主側は、変更申請に対する回答を21日以内に書面で通知することが義務付けられています。

また、Flexible Work Arrangementには、雇用保障や経済的安定を確保できるという大きなメリットがあると思います。

生活の変化によるストレスフルな状況の中でも、無理のないペースで仕事を続け収入を得ることは、精神的負担を大きく減らします。

一方、雇用主にとっても人材を失わずにビジネスを継続することができます。人口が約2,660万人と、日本に比べてかなり少ないオーストラリアでは、人材確保や人材キープも時に大きな課題となるのです。

Flexible Work Arrangementが雇用主、従業員の両方に良い影響を与え、今後の経済発展にも一役買ってくれることを期待しています。

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Written by 野林薫(オーストラリア)

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