唐突ですが、ここで「ライフキャリアレインボー」というお話をさせていただきたいと思います。
人は、この世に生を受けた時から、何らかの役割を担っていると言われます。
最初は誰かの「子供」という役割、これは親が亡くなるまでずっと続きます。
そして、「子供+学生」から「子供+職業人」に変化したり、そうこうするうちに「子供+職業人+家庭人(独り立ち)」そして「配偶者」や「親」という役割が加わったりします。
この理論を提唱したドナルド・スーパーという教育学者はさらに、「余暇人」や「市民」という役割も位置付けています。
「キャリアとは単に報酬を得て働く仕事のことだけではない」と考え、彼は人生を「レインボー(虹)」になぞらえました。
人は同時期にいくつもの役割を担い、その一つ一つを豊かに育てキャリアを形成します。虹の幅は、ある一定の時期に厚みを増すこともあれば薄くもなり、代わりに他の役割が増えていきます。
ドナルド・スーパーは、「生涯を通じて、何らかの役割を果たす過程が重要である」と言っています。
特に、40〜50代前半は役割の重なりも多く、厚みを増している状態ですが、それを過ぎると職業人としては人生の分岐点に差し掛かり、より「家庭人」「配偶者」「市民」「余暇人」などの役割が増していくのです。
今、I子さんご夫妻はこの人生の分岐点にいるのではないでしょうか?
「人生100年時代」と言われて久しいですが、これまで夫婦でがむしゃらに走ってきたけど、ここから残りの人生を、どんなふうに過ごしていきたいか、どんな役割があって、どこに厚みをもたせたいか、じっくりとご夫婦で考える時が来たように思います。
そんなターニングポイントが、再度の海外赴任というお土産を持って来たのです。
初めての帯同生活に不安も多いことと思います。何歳になっても、初めてやることは心配がつきものです。
でも、帯同すれば孤独ではないし、海外で起こるアクシデントは、後々夫婦揃って笑い話にできることもあります。
「人生のほんの何年かを一緒に海外で過ごす」というのも、この時期だからこそ、一つの選択肢であることは間違いなさそうです。
もちろん、留守番するのもアリです。その場合は、今度こそ「帰任してきた夫さんとどんなセカンドライフを過ごすのか」をあらかじめ具体的に話し合っておいて、そのための準備を整える時間にすることもできそうですね。
I子さんは、これまで本当に頑張ってきました。献身的に家族を支え、エネルギッシュに生きてこられました。
その分、自分のことはちょっと後回しにしがちで、少し我慢したことも多かったかもしれません。「コップの中の水が溜まりに溜まって決壊した」そんな感じかもしれませんね。
だから今こそ、「自分らしいシニアライフ」のために、
①今までの経験を活かして、同じように過ごす
②新しいことにチャレンジしてみる
③これまでの人生でやり残したことに向き合う
など、いくつかの可能性を書き出して、方向性を見つけていくと良いですね。
I子さんの心ままに、自分の気持ちに素直に従えば、それがベストチョイスになるはずです。
今回の決断は、I子さんの手の中にあります。応援しています。
Written by 岩井真理(日本)
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