ジョージアの首都・トビリシの大通り
今回は男女平等について私見を述べたいと思います。
残念ながら、私たちの母国・日本は先進国の中でも男女格差のスコアは最低レベルで、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低いです。
世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が発表した最新の「Global Gender Gap Report 2023」では、日本の順位はなんと146か国中125位でした。下から21番目です。
「ええ!?まさか日本が!?」とは思いません。「ああ…そうなんですね…。」と思ってしまう悲しい現実。
私は男女平等な国に住んだことがないので、男女平等な社会がどういうものか分かっていませんが、日本における女性の地位が非常に低いのは体感として分かります。皆さんはどのように感じますか?
一方、ジョージアは76位です。146か国の中なので、ちょうど中間くらいです。とても高いわけではありませんが、それでも日本と比べるとずっと男女格差は少なく、女性がのびのび・いきいきしています。
ジョージアに暮らして4年目の私の目から見てもそう感じます。
母は家族の中心「太陽!」という感じで、実母と一緒に二世帯、三世帯で住んでいる家庭が多いです。そして、いきいきと仕事をしている女性が多いようにも見受けられます。
私が住むジョージアの地方都市クタイシ
日本はいまだに「女はこうあるべし、男はかくあるべし」が強いです。政治家は圧倒的に男性が多いですし、企業の重役などは基本的に男性です。女性がいると「女性の活躍を推進しています!」と、ことさらに女性登用を強調しているように感じます。
一方、ジョージアでは現在の大統領は女性です。その時点で日本より進んでいますが、さらに企業の代表者も女性の割合が日本よりもずっと高いです。
男まさりな女性!というわけではなく、女性らしい美しさも楽しんでいる強く素敵な印象です。
他にも、学校の先生や校長などはほぼ女性です。一方、警官はほぼ男性です。
性別で差別・区別しているというよりは、その人が向いているから、という印象です。働く女性もいれば、家庭に入る女性もいます。
男性も、仕事に向いている人は働くし、向いていない人は家庭に入ります。母が他の国に出稼ぎし、父が家庭を守っている家も珍しくありません。
また、ジョージアは夫婦別姓です。結婚しても女性はファミリーネームを変更する必要はありません。
ただし、生まれた子供は父親の姓を名乗るケースが大半らしく、そこはジェンダーギャップがあるようです。
両親が離婚した場合、子供は母親側につくのが多いのも日本と同じです。ちなみにその場合、多くの母子家庭は母子の苗字が異なりますが、それはあまり気にならない様子です。
家制度が強い日本人の感覚からするとちょっと驚きですよね。
窓からの風景
ジョージアで娘と一緒に歩いているとよく話しかけられます。ある日、知らないおじさんに衝撃的なことを言われました。
「いい子を産んでくれてありがとう」と!
あまりにもサラリと言われたので自然な感覚なのでしょう。
でも今まで誰からも言われたことがないその言葉に私は感激しました。しかも、そのおじさんだけではなく他の人からも言われました。
日本では「良い子ですね」と言われて「ありがとうございます」とお礼を言うことはあっても、「良い子を育ててくれてありがとう」とお礼を言われることはありません。
ジョージアでは、『母であること』に対して感謝されます。子どもに対しても非常に寛容で、社会全体で子どもを育てています。
日本の政治家がいう「女性の社会進出」とは「男のように働くこと」を指しているように感じますが、そうではないと思います。
「母」という存在なくして人類は存続しません。まさに社会形成のコアの部分なのに、日本の「社会」に母は除外されています。
子どもをたくさん産みたい人は産める、産まない選択もできる、仕事と育児を両立するなど、いろんな選択があることが成熟した文化・社会だと思います。
こういう日本の風潮が苦しいからと、海外移住の道を選ぶ日本人家族も少なくありません。
自分たちの価値観に近い環境を選べるのも海外移住の良さですね。
それではまた、次回のコラムをお楽しみに! наглядис(ナッホァンディス/さよなら!)
Written by 宮下なみ子(ジョージア)