ペットを飼っている人はオーストラリア人口の66%を占めるほど、ペット大国のオーストラリアです。
オーストラリアで飼われているペットの数は約2,900万匹と言われており、ペットオーナーの48%が犬を、30%が猫を飼っているそうです。
しかし、これが賃貸住宅となると、ちょっと事情は違うようです。
ほとんどの賃貸住宅のオーナーは、借り主がペットを飼うことを禁止しています。
しかし、シドニーが州都であるニューサウスウェルズ州に、賃貸住宅にまつわるペットの新たな法律が制定されようとしています。
この法律は、ペットを飼いたいと考えている借主には嬉しい法律になりそうですが、大家さんたちにとってはあまり嬉しいものではないようです。
現在の法律では、賃貸住宅の借り主がペットを飼いたいという申し出を大家に提出した場合、大家側はその理由を説明せずに一方的に拒否することが許されています。(盲導犬等のアシスタントアニマルは除く)
しかし、新しく制定される法律では、「正当で尚且つ、借り主が納得する理由」を説明する義務が発生します。
この法案には、大家や不動産業者たちが、ペットが物件にダメージを与えるとして反対を唱えていますが、賃貸住宅を借りている人たちをサポートする組合は、ペットオーナーは物件に与えたダメージに対して責任を負う義務は十分理解しているとし、意見は対立しています。
この法律が施行されると、引っ越しがしやすくなるという利点が想定されています。
引っ越しをしたくてもペットを受け入れてくれる物件がなかなか見つからないことが、生活に悪影響を及ぼしている人々にとって、一筋の光になるかもしれません。
家庭内暴力の被害者たちがその代表的な例です。
逃げ出したくても、かわいがっているペットを受け入れてくれる賃貸物件やシェルターが見つからず、その状況に留まるしかすべがない人たちが数多く存在しています。
泣く泣くペットを置いて逃げ出しても、加害者家族やパートナーからペットの虐待や殺害を盾に脅されて、戻ってしまう被害者も少なくないそうです。
ペットといえども、コンパニオンシップや深い絆を感じる存在であれば、「ペットを虐待される状況に置いていく」というのは想像を超える苦しみに違いありません。
賃貸物件でもペットが飼えるようになると、精神面で恩恵を受ける人が増えるかもしれないというのが私の個人的な考えです。
私はシドニーで精神障害を持つ人々の自立支援の仕事をしているのですが、動物が大好きなクライアントが動物と接している時の幸せそうな様子は、私たちスタッフの心も和ませてくれます。
精神を病んだり、元気をなくしてしまっている人たちが多い現代社会です。
人間の心を癒やしてくれるペットの存在は、私達が思っている以上にかなり大きなものかもしれません。
私はペットは飼っていませんが、毎日ベランダに飛んでくる鳥たちに心を和ませてもらってます。
もしかするとオーストラリア政府は、精神疾患といった社会問題の改善策の一つとして、ペットに一役買ってもらいたいと考えているのかもしれませんね!
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Written by 野林薫(オーストラリア)