みなさんのお住まいの地域では、スカウト活動は身近にありますか?
日本ではボーイスカウトまたはガールスカウトという名前で知られるスカウト運動は、インドネシアの小学校から高校までの必修の課外活動です。
課外活動と言っても、毎週一回国語や数学などの普通科目と同じように授業があり、テストもあります。
日本では学校の活動としては馴染みが薄いスカウト活動が、インドネシアではどのように必修の課外活動になったのか、その歴史は想像以上に古いものです。
インドネシアのスカウト運動のルーツは、オランダの植民地時代である1912年まで遡ります。スカウト運動のオランダ支部(Nederlandesche Padvinders Organisatie:通称NPO)が誕生し、のち1916年にその名称をNIVPと変えます。この年に、インドネシアで最初の地元スカウト組織も結成されました。
その後、多数のスカウト組織が作られたもののオランダ植民地政府に禁止されたりと紆余曲折ありながらも、1945年独立の年には全国的なスカウト組織が誕生。
1960年に入ると当時のスカルノ大統領政権下で組織の再編成が行われ、翌1961年、スカウト指導者たちが一つのスカウト運動の組織に集まることを宣言。
1961年8月14日の全国指導者会議で、スカルノ大統領はバナーを手渡しスカウト運動を公式に国民に紹介します。この8月14日は、今でもスカウト運動の日(Hari Pramuka)となっています。
スカウト運動とは、若者の社会で有用とされる肉体的・精神的スキル向上の手助けを目的とする教育運動と定義されているようで、野外活動がメインです。
我が家の子供たちがこれまで参加してきた学校のスカウト活動では、山など野外でのサバイバル的な内容や応急処置などがあります。
日本の学校ではスカウト活動を学ばなかったと話すと、小学生の息子に「もし山の中で遭難したらママはどうするの?」と聞かれてしまいました。
毎週学校でのスカウト活動の日は、生徒も教職員も全員がスカウトの制服を着て登校します。年齢や活動内容でレベルが決まっていて、レベルによってスカウト章のワッペンが変わり、増えていきます。
活動の一環で毎年、子供たちの学校ではスカウトキャンプの行事があり、山の上にある自然の中でテントを張って、1〜2泊の合宿行事があります。
私はスカウト活動の経験も知識もないので、インドネシアの学校教育とインターネットでの情報を通してその中身について調べてきました。
どうも世界的には市民によって広く行われている活動ではないような印象を受けますが、インドネシアでは政府が定めている課外活動として学校教育の中に取り入れられているため、他国・地域よりも身近なものです。
スカウト加盟員数は世界の中でもインドネシアが飛び抜けて多いです。その数なんと2500万人!次に多いのがインドの358万人ですので、桁違いの多さがわかりますね。
インドネシアの学校で教育を受けている子供たちには、スカウト活動で育む学び「肉体的・精神的スキルの向上」をぜひ活かして欲しいなと思います。
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Written by スパルディ杏子(インドネシア)