このコラムでは、世界中の読者から寄せられた仕事やキャリアに関するお悩みに対して、キャリアコンサルタントの岩井真理さんにご回答いただいています。
東京の日本企業で働いて3年目になります、30代の中国人女子Jです。
社内で人間関係を上手く構築できず、疎外感を感じています。上長に指示やアドバイスを求めても、的確なものをもらえないのに、ミスが発生するとすべて私が悪いと言われます。
仕事量も多く、残業することもよくあります。もっと効率的に仕事をしたくて会社のためを思って意見しても、真面目に聞いてもらえません。味方になってくれる人が誰もいないのが辛いです。
前の会社でも上長から嫌われたり、孤立したり、人間関係のストレスを抱えることが多いです。職場を変えたくて、転職活動を続けていますが、なかなか結果が出ません。
私はどうしたらいいでしょうか。
Jさん、こんにちは。現在、仕事上の人間関係にストレスを抱えていらっしゃるのですね。転職活動も結果が出ず、お困りですね。
「前の会社でも」とありますが、ご相談文からはどこのことか分かりかねますが、まずはコミュニケーションのスタイルについてお話しますね。
Jさんは、「コンテクスト(context)カルチャー」という言葉をご存知ですか?
コンテクストとは、背景や文脈を意味し、「共有されている文化的な背景の割合」が高いと「ハイコンテクスト」、低いと「ローコンテクスト」に分類されます。
お察しのように、日本はハイコンテクストカルチャーの国です。共有されている文化背景の割合が高く、共通認識があるため、言葉で示さなくてもなんとなくで意味が通じることが特徴です。
いわゆる、空気を読む、行間を読む、以心伝心など、「言わなくても分かるでしょ?」というコミュニケーションです。
例えば、Jさんの会社の上司が「Jさん、時間がある時で良いんだけど、この資料をまとめておいてくれないか?」と依頼してきたとします。
ハイコンテクストカルチャーでは、「そうは言うけど、きっと上司は早く欲しいのかも」と察して、時間がある時ではなくて今すぐか、なるべく早くその仕事に取り掛かります。
しかし、他の仕事もあって忙しいし、「時間がある時」と上司も言っていたので、その仕事は後回しにしていると、数日後に上司は「あの資料はできてる?」と催促してくるでしょう。
Jさんとしては、「時間がある時でいいと言っていたのに」とモヤモヤしますよね。
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