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ハワイの訪問看護師が語る仕事の魅力と葛藤

2024年11月18日
研谷美月 (アメリカ)

ハワイの訪問看護師として3年目を迎えます

ALOHA! アメリカハワイ州在住歴8年目のMitsukiです。私はアメリカハワイ州で正看護師(現在は訪問看護師)として働く傍ら、国際的に活躍したい看護師さんたちをサポートする会社BeLightの代表としても活動しています。

現在、ハワイで看護師として働いて約4年ほどになりました。訪問看護師として働き始めてからは、来年1月で3年目を迎えようとしています。

これまでハワイではさまざまな理由で職場を点々としてきました。

今は訪問看護の世界に魅せられて、このまま訪問看護の世界で頑張っていきたいと思っています。

今月のコラムでは、「訪問看護の仕事とはどのようなものか」について知っていただける機会になればと思います。

 

訪問看護の世界に入るきっかけ

もともと私は訪問看護師として働きたいとは思っていませんでした。逆に、「一人で患者さんを訪ねていくのは怖い、自信がないな」と思っていたほどです。

コロナが少し落ち着いた頃、オンラインベースだった病院関係のジョブフェアも対面でできるようになり、就活に本腰を入れるようになりました。

ある日、とある病院の人事から電話がかかってきて、希望する部署を聞かれました。

アメリカでは基本的に経験ベースで採用となるので、当時ハワイでの病院勤務経験がなかった私は「新人用のプログラムに入りたい」旨を伝えました。

ところが、「新人用プログラムはジョブフェアでは採用していないので、オンラインで引き続き応募し続けてください」との返答でした。

以前のコラムでも書きましたが、私はそれまで数えきれないほどのアプリケーションを出してきたので、「ここで引き下がるわけにはいかない!」と思い、「何かポジションはないか」と食いつきました。

その時に、「訪問看護に興味はありますか?」と言われたのが始まりでした。

予想していなかった訪問看護の仕事ですが、それからとんとん拍子にインタビューが決まり、ポジションのオファーを受けたことで、「きっとここが私が辿るべき道なんだ」と思えました。

 

訪問看護の対象者と仕事のスケジュール

訪問看護では、基本的に月曜日から金曜日まで働いています。1日に4名から6名ほどの患者さんを訪問します。患者さんの年齢は20代から最高齢は106歳の方です。

アメリカは日本に比べて、患者さんの病院滞在日数が短いです。日本ではまだ病院に入院しているような患者さんでも退院して家に戻ることがあります。

訪問看護では、患者さん達の点滴の管理や教育、傷の処置、薬の管理の指導、慢性病の管理や教育などをしています。

また、一般の家を訪ねたり、個人が自宅で経営している老人ホーム、医療的管理が必要なホームレスのシェルターなどにも訪問します。

個人経営の老人ホームは、あまり日本では見かけないのではないでしょうか。

ここハワイでは、CNAといって看護助手のような方がある一定の教育を受けて、施設となる家の審査に通ると、自宅で老人ホームを運営することができます。

普通の住宅街では一見分からないことが多いですが、至る所に自宅の一部を老人ホームとしている方がたくさんいます。

 

葛藤とやりがい

訪問看護ではさまざまな地域や家庭に訪問するので、病院やクリニックなどでは見えない状況や環境を見ることになります。

貧困の格差が大きいハワイですが、実際に生活の様子を目の当たりにし、それまで知らなかったハワイの一面を知ることになりました。

家庭の中で医療ケアやサポートを必要としている人がこんなにも多くいるとは。

家庭から出ることが難しいために受けられる医療やサポートが限られてしまう場合も多くあり、サポートの限界に遭遇するたびに葛藤を覚えます。

その反面、訪問看護の仕事が、そのような限られた資源の一つとなっていることや、自分が知識を増やして他の部署や医療機関、ソーシャルサポートとの繋がりを持つことで、患者さんや介護士、さらには家族を助けることができるということにやりがいも感じています。

また、患者さんの「病院や医療施設にいたくない、自分の家に帰りたい、家庭で過ごしたい」という思いを実現できるということも、私がこの仕事を続けている理由の一つかもしれません。

Written by 研谷美月(アメリカ)

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