私は2015年に夫と付き合い始めた頃から、毎年クリスマスを義理の家族の家で過ごしています。気付けば、フランス南西部のボルドー郊外で過ごすクリスマスは、今年で10回目になります。
毎年同じような過ごし方をするのですが、数年前に主人の両親が12月の初めに体調を崩したことがきっかけで、いつもと違う雰囲気のクリスマスを過ごしたことがありました。
それまでは片付けや食事のサーブを率先して手伝っていましたが、買い物や準備をゼロから手伝ったことがなく、半分お客さん的な気持ちでいました。
その年は義両親が体調不良でしたので、居候している主人と私がいろいろとお手伝いをすることに。
その時はお義母さんをはじめ、皆が精神的にも肉体的にも少し疲れ気味でした。そうすると普段は気づかない小さいこと、例えば「クリスマスのストレス」に気がつきます。
その時のことを思い出しつつ、今回はフランスのいわゆる「普通の家庭」でのクリスマスの様子や、そこで気づいたフランスの家族とのクリスマスで私が感じた不思議「?」の数々をシェアしたいと思います。
ビーフフィレの上にフォアグラポワレの「ロッシーニ風」
家族全員が集まるクリスマスイブ24日の夜のディナーと、クリスマス当日25日のランチは一大イベントです。数日前から、メニューについての本気の議論が行われます。
お義母さんが「前菜はこれ、メインは帆立で、デザートはこれがいいと思う」と言うと、お義父さんが「メインはフォアグラをポワレして、ステーキに載せたものにするって言っていなかったっけ?」と言います。
するとお義母さんは「夜にそんなに重いものを食べたくない」と答えます。
主人が「それならお母さん用にはホタテ、僕たちはステーキとフォアグラにしよう」と提案。
「アペロにはつまめるサンドイッチと、前菜はスモークサーモンを薄く切ったものと、アンディーブのサラダにくるみとチーズを載せたものと、オマール海老と…」と、お義母さんが続けます。
主人は「アンディーブにこのチーズは合わないよ」と言い、義父は「フォアグラとパンデエピスも食べるんだよね?前菜多すぎじゃないか?」と指摘します。
こうしたやりとりが、時に喧嘩腰になりながら真剣に行われます。
フランス人の友人や家族間の会話を聞いていると「えっ、何でそんなに喧嘩腰?!」と思うことがよくありますが、自分の考えを主張する際の普通の喋り方で、喧嘩をふっかけているわけではないようです。
翌日や翌々日に議論が長引くこともあります。「昨日こう言っていたじゃないか」「でもやっぱりこっちの方がいいと思ったから」とまた議論が加熱します。
なかなか決まらないので大変ですが、ブッシェリ(お肉屋さん)やポワソネリ(お魚屋さん)などで欲しい部位のお肉や特別なシーフードは事前に予約しないといけないので、早めにきちんと決める必要があります。これもまた一悶着あります。
ちなみに我が家では、毎年前菜に必ず生牡蠣やブロー貝などのシーフードと、フォアグラのテリーヌが登場します。フランス南西部ならではのお料理です。
メインは毎年違いますが、鴨の胸肉や、牛ステーキの上にフライパンで焼いた(ポワレ)フォアグラを載せた「ロッシーニ風」などが多いです。
生牡蠣とサーモンを「前菜」のつもりがみんなお腹いっぱいでメインにたどり着かない年も
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