先日、東京観光から戻ってきたマカオ人の友人から、「日本滞在中に一家全員体調を崩したが、診察してくれる先生や受け入れてくれる病院がなくてとても苦労した。ようやく診てもらっても高額請求されて散々だった」という話を聞いた。
「宿泊ホテルの近隣に大きな病院がなかったのも理由かもしれない」と本人は言っていたが、それにしても大変な体験をしたようだ。
その話を聞いた数日後、「大S」の愛称で親しまれている台湾の有名女優、徐熙媛(バービー・スー)さんが日本旅行中に死亡するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。
旧正月に家族で日本を訪れていた際にインフルエンザにかかり、合併症を起こしてしまったのが原因とのこと。彼女はまだ48歳。あまりに突然すぎる死に社会が動揺した。
このニュースを受けて台湾では、人々が予防接種に殺到しているらしい。
香港のニュースでは、「旅先で体調を崩す可能性に備えて薬の携帯や、旅先での医療機関を事前に調べておきましょう」というツアーガイドのインタビューが流れていた。
日本では例年以上のインフルエンザ患者数に加え、海外からのインバウンドもあって、医療機関は逼迫しているらしい。
一般社団法人日本感染症学会の提言によると、「2024/25シーズンはインフルエンザ患者数が過去最高レベルの立ち上がり」とのことで、コロナ禍での集団免疫が低下したことが感染数が多い要因なのだとか。
さらに調べてみると、日本の医療機関には「感染症患者を受け入れる法的な義務はない」ということが判明。
インフルエンザや新型コロナの感染患者の受け入れの可否を各医療機関の病院長が決めているため、民間病院での受け入れは進まず、公的病院に受け入れが集中している状況なのだとか。
外国人旅行者は言葉の問題もあるだろうから、診療してもらえる先を見つけるのに相当苦労するのだろう。
マカオの街は世界有数の高人口密度!
マカオではコロナ禍以降、マスクをつける人が多くなった。特に高齢の方が意識してつけている。大Sの衝撃ニュース以降はマスクをする人がさらに増えたと感じる。
バスの中では、テレビモニターからインフルエンザ対策の広告が流れている。旧正月を終えて、学生たちが学校に戻ってくる今の時期に緊張感を持っているようだ。
マカオは32平方キロメートルという、車で2時間で外周を回りきれてしまう小さな地域。その中に68万人もの人が暮らす世界でも有数の過密都市。感染爆発が起こると、広がりはあっという間。
コロナの時も厳しい水際対策で鎖国状態となり、2年近く感染者数を一桁に保っていたものの、一度感染が広がると2週間もしないうちにマカオ住民の半分が感染した。その後2ヶ月ほどでほとんどの住人はコロナ感染に至った。
ただ、事前に政府から各家庭に薬の提供があったので、病院に行かずとも家で療養して治す人が多かったと思う。医療崩壊にはならなかった。
マカオでは毎年、住民に向けて無料で予防接種を提供している。この冬はインフルエンザに加え、肺炎球菌ワクチンの同時接種も推奨。
義父母は毎年率先して予防接種を受けていて、健康管理に気をつけている。実際に滅多に風邪をひかない。
マカオの医療機関は公立、民間があり、ともに総合病院、診療所がある。
政府が運営する公的医療機関は、診察も処方箋も安価、もしくは無料で出してもらえる。
その代わり待ち時間はとても長いし、検査は数ヶ月待ちになることもざらだ。事故にあったとしても救急車で運ばれない限り、すぐには診てもらえない。
民間医療機関は待たずにすむが、費用は高め。私の場合、急な体調不良や精密検査は民間の医療機関で診てもらい、高額な時は保険を利用している。
民間病院で一泊入院で胃カメラ、内視鏡検査、腹部エコーなどの精密検査を行った際は、16,000パタカ(約32万円)かかり、全額保険でおりた。
一方、急ぎでないものは政府の医療機関を利用している。先日は公的医療所で貧血改善の相談をした。
その際、血液検査を予約してもらったのだけれど「同時に検査するから血液検査の朝、採尿したものを持ってきてね」と3ヶ月先の予約シートと尿検査のカップを渡された。3ヶ月後か、、、忘れないようにしないと。
マカオ住民にとっては、目的に応じた医療が受けやすく、使い勝手が良いと感じている。
旅行等でマカオに来られる外国人が病院にかかる場合は、マカオ住民とは条件が異なり、医療費控除はない。そのため、体調不良の可能性を見越した準備をしておくに越したことはない。
診療を受ける場合は、待たなくて済む民間病院をお勧めするし、念のため保険に入っている方が安心だと思う。
皆様、備えあれば憂いなし。体調管理には気をつけて、元気な日々を過ごしましょうね!
Written by 周さと子(マカオ)