先日、カナダ・オンタリオ州の日本語弁論大会に審査員として参加してきました。
この大会は1983年から毎年続く伝統的なイベントで、日本語を母国語としない方が普段の日本語学習の成果をスピーチとして発表する場となっています。
日本語を学び始めたきっかけは人はそれぞれ。日系3世で日本語が話せず、祖父母と日本語でコミュニケーションを取りたいがために勉強を始めたという人や、アニメやJ-POPがきっかけだった人。
理由はどうであれ、日本語学習にかける皆さんの熱い思いが伝わってくる大会でした。
この大会では、スピーチの内容や構成のみならず、発音、間なども採点の対象になります。
単に言葉を伝えるのではなく、姿勢やジェスチャーなども上手く活用し、聞き手の心を動かす発表ができるかどうかで結果が左右されます。
日本語で表現の方法は多岐に渡ります。同じ内容を伝える場合でも、「です・ます」の様に丁寧に終わる場合と「だ・である」で終わる文章では印象が変わりますし、話の雰囲気も異なります。
また、「間」を意識することで、より説得力のあるスピーチができます。例えば、重要な言葉の前に少し間を置くと、聞き手に「これから大事なことが語られる」と意識させることができます。
このように、色々な要素を審査されるスピーチコンテスト。最前列に座っていた私には、発表者の緊張がひしひしと伝わってきていました。
自分の母国語で発表するのにも緊張するシチュエーションで、学習が難しいと言われる日本語を大勢の前で発表をする参加者の勇気にたくさん拍手を送りました。
それと同時に、カナダではこんなにたくさんの人が日本語を学んでいるのかと驚き、嬉しい気持ちにもなりました。
言葉を学ぶことは、その国の歴史や文化を学ぶことにつながります。時には上達のスピードが思う様に上がらず、モチベーションを保つのが大変な時もありますが、きっと様々な発見や学びがあり、自分を一つ上のステージに上げてくれることでしょう。
カナダの人々がこのように日本語や文化を継承してくれていることも感慨深かったです。審査員として参加した会でしたが、逆に発表者から色々と気付きをもらった充実した日でした。
もし皆さんのお近くで日本語スピーチコンテストがありましたら、ぜひとも覗いてみていただきたいです。
非日本語話者がこんなにも日本語を使いこなし、こんなにも日本文化を愛してくれているのかと感動すること間違いなしです!
Written by ファンフェーン庸子 (カナダ)