
みなさん、こんにちは。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援する真理です。
今回はいつもの「個別お悩み相談」から形式を変え、日頃私がお受けしているご相談の中から、「年代別・お悩み別」にまとめて、考え方のヒントなどをお伝えしていこうと思います。(相談内容は、個人が特定されないよう編集しています)
本日のテーマは「30〜40代のキャリアの中断」です。以下のようなご相談が多く寄せられます。
・結婚を考えている相手が海外駐在員で、海外に住む可能性があります。仕事を辞めて行くべきか、それとも日本で自分のキャリアを続けるべきか悩んでいます。
・夫の転勤で海外へ行くことになりましたが、自分のキャリアが止まってしまうのが不安です。
・現地での仕事探しが難航しています。日本での職歴を活かせる仕事が少なく、ビザの制約もあって思うようにいきません。どのようにキャリアを築いていけばよいでしょうか?
・日本に戻ったときにキャリアのブランクにならないかも心配です。海外移住後もキャリアを継続する方法を知りたいです。

最近では女性だけでなく、男性が女性の海外転勤に帯同するケースも増えていますので、「ウーマン」に限らず、これは男女共通の課題になりつつあります。
帯同した場合、海外でも仕事を見つけられるのか?語学力やビザの壁があり、思うようにいかないのが現実という声も聴きます。
一方、コロナを経てリモートワークも増えたので、日本の仕事をリモートでそのまま続けるという選択肢もなくはないですが、職種によるのもまた現実です。
現地で新しい仕事に挑戦するのもアリだろうけど、今までと違うことをして、日本に戻ったときにキャリアのブランクにならないかを心配される声も聞かれます。
ただでさえ世の中の変化のスピードは早く、「常にキャッチアップしていかないと積み重ねてきたキャリアが台無しになるのではないか」と不安な気持ちになりますよね。
自分が日本にいない間に、周囲はどんどんキャリアアップしていきそうで、気が気ではありません。

とはいえ、海外生活にも少なからず魅力を感じ、これはチャンスなのか?リスクなのか?決め難い選択です。揺れる気持ち、よくわかります。
ところで、これらのご相談をいただくたびに私が思うのは、「まだ行ってもいないのに、もう帰国後のことを考えてるんだなぁ」ということです。
私が20代後半で初めて海外へ帯同した時は若かったこともあり、かなり楽天的に考えていました。何年か海外で暮らしても、転職も視野に入れて考えたら「何とかなるんじゃない?」ってぼんやり考えていました。
ミドルになって二度目の時は、役職に就いていたこと、帰国後の年齢の事もあり、少し慎重になりました。
それでも逆に、積み上げてきた経験や取得した資格など、自分のスキルについて棚卸してみたら、また「何とかなるんじゃない?」と思いました。
結果、それぞれ何とかなっています。
今振り返ると、年代こそ違え、2回とも帰国後の未来よりこれから始まる新しい生活の方にワクワクしたのが、帯同するモチベーションになりました。
そして、渡航後も先のことはさておき、新しい生活を満喫しました。

これは海外生活に限らず、私の仕事観の一つですが、「目の前のことに真剣になれなければ、未来はない」という考えがあります。
会社勤めが長かったので、時には意にそぐわない職務変更、希望しない異動もありました。それでも、「今、与えられた事を一生懸命やれなければ、この先に何も繋がらない」と思って頑張ってきました。
意外にも、あまりやりたくなかった仕事がだんだん面白くなったこともあります。また、結果的に自分の行きたい方向へ道が開かれたりするから不思議です。
人生は選択の繰り返しですから、右へ行くか左へ行くか、はたまた、戻るか迂回するか。その都度、選んだ方へ進めば、もう一つは捨てたことになります。
けれど、選ばなかった道も、それが本当に自分にとって意味のあることなら、何年かしてまたチャンスは巡ってくるものだと体験的に感じています。
「キャリアの中断」「ブランク」などと言われることもありますが、それは必要な「ブレイク」「充電期間」と言うこともできます。
職業について収入を得ることだけが「キャリア」ではありません。学んだり、ボランティアしたり、何なら思いっ切り旅行したり遊んだり、それも立派な「ライフキャリア」です。
ライフキャリアは、人生の中で必ずどこかで役に立つということは、身をもって体験しました。
「海外へ行く」というチャンスは、誰にでもそうそうあるものではありません。帯同するにしても、日本に残るにしても、「今」を十分に楽しみ、懸命に生きることをオススメします。

このような考え方は、社会学的に言うと、「コンサマトリーな生き方」というそうです。
「それ自体を目的とした」「自己充足的」を意味し、従来の目標設定し、それに向かって行動する未来志向型の「インストゥルメンタルな生き方」と相反するものです。
かつては、計画的に努力を続けて行けば、何事も右肩上がりに成長を遂げた時代でした。しかし、少し先のことも不確実な現代においては、計画的に行動しても、状況が変化することが度々あります。
だとしたら、柔軟なマインドでコンサマトリーに生きることの方が、多様なチャンスに巡り会えて、進路変更も容易にできるかもしれないな、と感じています。
これ、ちょっとラテン的かもしれません。私の住んでいたブラジルの人達は、元々コンサマトリーですね(笑)。
とは言え、ただ漫然と過ごすのではなく、今を楽しむこの時間こそ自分に向き合い、自己理解を深めることをお勧めします。なぜなら、自分を知ることは一番の幸せだからです。
ちなみに、「セレンディピティ」という言葉をご存知でしょうか?思いがけない偶然によって幸運を手に入れること、またはその能力を意味する言葉です。
自らの興味や関心を明確にして、常にアンテナを高く持っていれば、自ずと自分に必要なものがあちらから寄ってきます。
望んだもの、それ以上のもの、意外なものに巡り会えるセレンディピティは、「準備した人」に幸運を運んでくれるといいます。
今、人生のターニングポイントで、キャリアについて考えるなら、不確定要素の多い先の先の事より、今ここでできる事、楽しめる事を精一杯体験し、自分について深く思いを馳せる時間にする方が、多様なチャンスに恵まれそうです。
選択肢がたくさんあることは、あなたの伸び代でもあるのですから。応援しています。
Written by 岩井真理(日本)
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