仕事やプライベートで、生成AIを活用している人も多いと思います。
ChatGPTに代表される生成AIの登場により、私たちの「調べる」「考える」「書く」という行為は大きく変わりつつあります。
しかし、AIを使いこなすには適切な使い方を知ることが必要です。誤った使い方をして、AIに依存してしまう人も出てきています。
特にグローバルに活躍したいのであれば、「AIが何をしてくれるか」よりも、「自分がどう問い、どう判断するか」が問われます。
AIはただの便利なツールではありません。むしろ「思考の鏡」のような存在で、問いの質が浅ければ、返ってくる答えも浅いものになります。
つまり、AIを通じて私たちは「自分の思考力と向き合わされている」という自覚を持つことが大切です。
AIを効果的に活用するために必要なのが、AIに指示を出す「プロンプト力」です。
これが曖昧だったり抽象的すぎたりすると、AIは期待する答えを返してくれません。
逆に、背景・目的・制約条件などを具体的に伝えることで、出力の質は格段に上がります。例えば、海外移住について相談する場合、
悪い例:「海外移住が成功する秘訣を教えてください」
このように曖昧なプロンプトの場合、AIは移住先や目的、希望などの具体的な条件を理解していないため、非常に広範囲で無関係な提案をする可能性があります。
良い例:
「私は日本からカナダに移住を考えています。移住先ではまず安定した仕事を見つけ、現地の文化に溶け込みたいと考えています。移住前に準備すべきこと、ビザや住居探し、現地でのネットワーキング方法など、成功するためのステップを具体的に教えてください」
このように、
・背景(ビザ、文化適応、住居探し)
・目的(仕事の安定、文化適応など)
・具体的な質問内容(ビザ、住居、ネットワーキングなど)
を具体的に伝えることで、AIはその内容に基づいて最適な回答を提供しやすくなり、より実現可能で具体的な提案をしてくれます。
世界で活躍する人たちは、AIを「賢い検索エンジン」ではなく、「知的なサポート役」として使っています。
例えば、英語のメールやプレゼン原稿のブラッシュアップ、現地ニュースの要約、異文化理解の補助、さらにはアイデア出しや資料作成の時短ツールとして、戦略的に活用しています。
ただし、AIの出力には、正確に見えて実は事実と異なる「幻覚(ハルシネーション)」や、特定の視点に偏った「バイアス」が含まれていることがあります。
また、ChatGPTはスレッドが長くなると、一度に読み取れる「トーク履歴(コンテキストウィンドウ)」に限界があり、限界を超えると古い内容から切り捨てられていきます。
その結果、「記憶喪失」症状が出て、チグハグなやり取りとなったり、誤った回答を得やすくなったりします。
特に、AIを「便利だから」「みんな使っているから」といった理由だけで使うと、そのリスクに気づかず、誤った情報をそのまま受け入れてしまう危険性が高まります。
これを避けるためには、AIの特性や限界を理解し、冷静にその出力を評価することが不可欠です。
AIによる幻覚に人間が惑わされず、物事を一段階上の視点から捉える「メタAI」の視点を忘れないことが大切です。
私はWeb制作を学んだスクールで開催されたAI講座に参加したことをきっかけに、AIを本格的に使い始めました。
いくつかコースを取って体系的に学習したことで、AIに振り回されず、自分の武器として活用できるようになったと実感しています。
調べ物や資料作成、アイデア出しが格段に速くなり、時には音楽や画像、動画といった創作の幅も広がりました。海外生活で困ったことや家族問題などの相談にも乗ってもらっています。
ですが、AIの判断に全てを委ねるのではなく、「自分自身の思考と判断」を常に働かせることが必須条件です。
私は2045年に訪れると言われる「シンギュラリティ(技術的特異点)」を楽しみにしつつ、同時に少し恐れてもいます。
だからこそ、AIと冷静に向き合いながら、私たちの可能性を広げるツールとして使っていきたいと感じています。
生成AIの進化は止まりません。だからこそ、便利さに溺れるのではなく、「人間としてどう活用するか」を問い続ける姿勢が、世界で活躍するための鍵となるはずです。
Written by 藤村ローズ(オランダ)