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髪質、気候、美意識から見える日米の美容文化の違い

2025年6月30日
北村友香里 (アメリカ)

異文化の中で広がる美容師としての視野

はじめまして、北村ゆかりです。現在はアメリカのフィラデルフィアを拠点に、ニューヨークと行き来しながら美容師として活動しています。日本へ一時帰国した際にもサロンワークを行っています。

美容師として日米を行き来する中で、髪質の違いやスタイリングの習慣、美意識の傾向など、文化の違いを日々実感しています。

今日はその一部をご紹介したいと思います。

日本でも髪質は人それぞれです。髪が太くて硬い方、細くて柔らかい方、毛量の違い、強いクセ毛や真っ直ぐな直毛など、さまざまです。

それに合わせてカットや薬剤を調整するのは、美容師にとって難しくも楽しい作業です。

たとえば、アジアの方は髪の色素に赤みが強い場合が多いため、赤みを抑えるブルー系のカラー剤を配合することがあります。

こうしたちょっとした工夫が、仕上がりに大きく影響します。

アメリカでは、さらに多様な髪質に出会います。髪色が明るい方、カーリーヘアがきれいに出る方、骨格が丸型や卵型、ハチが張っているタイプなど、毛根の形そのものが異なります。

「これまでの常識が通用しない」と感じることも多く、技術の幅と柔軟な対応力が求められます。

 

毛質と気候による文化の違い

日本にはないカラー剤「グロス」

アメリカでは、髪が細くて乾燥しやすい方が多く、さらに空気も非常に乾燥しています。

そのため、サロンでシャンプーとブローをして、数日間そのスタイルを保つ方が少なくありません。毎日髪を洗うと、毛質がパサついてしまうからです。

そのため、毎週サロンにシャンプーとブローを受けに来る方も多くいらっしゃいます。

その際には、ブローにしっかり力を入れ、癖を伸ばしながら艶とボリュームを出すように心がけています。

アメリカでよく使われるのが、液体タイプのカラー剤「グロス」です。明るいベースの髪やハイライトを施した髪に使うもので、髪に艶を与える効果があります。

地毛が明るい方や、ブリーチ施術を受ける方が多いアメリカでは大活躍のアイテムです。名前のとおり、髪の毛に艶をプラスしてくれますし、ネーミングも可愛らしいです。

 

スタイリング習慣の違いと喜び

日本でのスタイリングには、広がりを抑えたり艶を出すためにヘアオイルを使ったり、ヘアオイルとワックスが混ざった質感のバームがよく使われています。

たっぷりとバームを付けてウェットヘアのように仕上げるスタイルも人気です。

一方、アメリカではドライでボリュームのある質感が好まれる傾向があり、ドライテクスチャースプレーが非常に人気です。巻き髪の後に全体へスプレーをして、無造作でセクシーな質感を演出するのが定番です。

毛先を巻かずに中間部分だけにウェーブをつけることで、ラフでセクシーな雰囲気を出すスタイルもよく見られます。

また、アメリカのお客様のリクエストは、流行に左右されるというより、個人の好みやスタイルがしっかりしている印象です。

それぞれの髪質や好みに合わせて、より良くなるようにプラスアルファの提案をして喜んでいただけると、大きなやりがいを感じます。

反対に、提案が好みに合わなかった時には「好きじゃない」とはっきり言われてへこむこともあります(笑)。それでも、また挑戦したくなるのが美容の面白いところです。

これからも、さまざまな文化やファッションに触れながら、自分の引き出しを増やしていきたいと思っています。

Written by 北村友香里(アメリカ)

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