今回のコラムでは、インドネシアのB級グルメ「Seblak・スブラック」を紹介します。
Seblakとは、インドネシア西ジャワ州発祥の人気スナックで、選べる具材やトッピング、そして辛さや香りが食欲をそそります。
その起源はインドネシアの独立(1945年)前にまでさかのぼると言われています。
西ジャワ州のいくつかの地域で、ナシゴレンなどのインドネシア料理の付け合わせとして欠かせない「kerupuk・クルプック」という、もともとは揚げたクラッカーのようなものを、茹でて食べたのが発祥とされています。
2000年代に入り、西ジャワ州最大の都市バンドンで若者を中心におやつ・スナックとして人気が再燃し、現在では多くの地域で幅広く親しまれています。
元々は、「クルプックをメイン食材として好みの具材やスパイスを加えて煮込んだ料理」だったのですが、今はクルプックは好みで入れても入れなくても良い感じです。
まるでタイスキの具材のように、
スブラックの主材料「kerupuk・クルプック」
スナックとして道端の屋台を中心に販売されていたSeblakですが、その人気の高まりから、ここ数年で店舗を構えた食堂スタイルのSeblak専門店も増加しています。
最近では、中国のマーラータンが世界的に注目されていますが、Seblakは「インドネシア版マーラータン」と言える存在だと私は感じています。
Seblakの店では、客が好みの具材やトッピングを選び、皿に盛り付けた後、それらを辛いスープで調理してもらうスタイルが主流です。
この注文方法や食べ方が、マーラータンとよく似ているのです。
子供たちとseblakを食べに行ったときの、調理前のお皿
Seblakの楽しみの一つである具材とトッピングの選択ですが、その種類は実に豊富です。
フィッシュボールや肉団子といった練り物、卵、野菜、マカロニや春雨などの麺類、そして前述のkerupukなどがあり、具材ごとに価格が設定されています。いずれも数十円程度です。
好きなだけお皿に盛ることができるのも魅力です。
ちなみに、このSeblakの具材としての人気から、インドネシアでは「エノキタケ」が広まりました。
現地では「Enoki」という名で親しまれており、最近ではローカルスーパーや市場でも見かけるようになりました。多くは中国産です。
ソーセージ、卵、春雨入りのseblak
Seblakのスープには特徴的なスパイスである「kencur・ガランガル」が欠かせません。これはショウガ科の香り高いスパイスで、タイ料理にもよく使われています。
スープの辛さも選ぶことができますが、辛さレベル1〜2でも店によってはかなり辛いため注意が必要です。
辛さゼロを提供してくれる店もあるので、辛いものが苦手な方でも安心です。
気軽に食べることができる、その人気の高さから、家庭でSeblakを作る人も増えており、最近ではSNSでレシピ動画を見かけることも珍しくありません。
インドネシアに仕事や観光で訪れる機会があれば、ぜひSeblakを試してみてください。
なお、お腹が心配な方には、屋台ではなく食堂スタイルの店舗で、辛さを控えめにすることをおすすめします。
Seblakの歴史参照元リンク:Mengenal Sejarah Asal-usul Seblak Khas Bandung
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Written by スパルディ杏子(インドネシア)