
日本人として海外で働く時、多くの人が「現地文化に馴染むこと」「現地流に合わせること」に集中しがちかもしれません。
確かに、現地企業で働く日本人として、「適応力」はとても重要です。
ですが、そこだけに寄りすぎると、「日本人としては非常識、現地人にもなりきれない」中途半端な存在になりかねません。
むしろ今求められているのは、言語だけでなく、両方の文化や価値観を理解し、橋渡しができるプロフェッショナルです。
ある程度の語学力は言うまでもありませんが、それだけでなく「文化的なバランス感覚」こそが、海外で活躍できる鍵となります。
今回は、海外で働く日本人として備えておきたい「グローバル・バランス感覚」についてご紹介します。

例えば、メール一つ取っても、「丁寧すぎ?」「礼儀正しすぎ?」という迷いは常にあるかと思います。
相手から何か確認を依頼された時、「確認して折り返します」と一度ワンクッション置いて、5分後に回答するというのは、日本人あるあるかもしれません。
相手にもメール確認の手間を発生させるので嫌がられることもありますが、ネイティブでない日本人が少し丁寧すぎるのは、むしろ文化的な配慮が伝わり、信頼感につながることもあります。
ただし、過剰な自己卑下や相手任せの曖昧さは通用しません。
・言いたいことは明確に言う
・でも礼儀を崩さない
このバランス感覚が、グローバル現場では非常に評価されます。配慮しつつも主導権を持つ姿勢が表現でき、相手からの信用を築いていくことができます。
日本人が持つ礼儀正しさや細やかな配慮は、本来大きなアドバンテージです。グローバルスタンダードに寄せようとするあまり、これを手放してしまうのはもったいないです。
大切なのは、自信のある礼儀正しさに昇華させること。
・相手の立場や時間を配慮する
・でも必要な主張ははっきり伝える
・説明責任は果たすが、過剰に責任を背負わない
日本人らしい優しさや心配りと、プロとしての自己管理能力は両立できるのです。

よく言われるように、欧米の職場文化は一般的に率直で合理的です。遠慮や空気を読む文化はあまりありません。
物事ははっきり伝える、忖度しない、合理性重視がベースとされているので、遠慮して控えめにするのは美徳とはされません。
でも、ドライに合理的であればいいというわけでもありません。実際、配慮ある丁寧さが評価される場面は少なくありません。
相手があまり気を使わない分、こちらが心の厚みを持つことで、むしろ信頼を得やすくなるのです。
現地文化に慣れるだけでなく、文化を翻訳し、対話の橋渡しができる人材。これがこれからますます重要になるグローバル人材の姿です。語学力以上に、
・状況にあった適切な言葉遣い
・文化の間に立つ柔軟さ
・日本人らしい気遣い
・間違いを素直に認められる誠実さ
・自信のある礼儀正しさ
これらは欧州企業の中で重宝される「柔らかくも強い」資質です。こうした積み重ねが、静かにキャリアの差を作っていくでしょう。
Written by 世界ウーマン編集部