
ホテルのバーからの景色
こんにちは。ドイツ在住のTowamiです。キプロス旅行記後編です。
【前編】ではキプロス旅行で感じたことを、【中編】ではキプロスの魅力をお話ししました。
今回は旅行中の「予定外がくれた豊かさ」について具体的なエピソードをご紹介します。
まず到着した日のこと。南キプロスのラルナカ空港からの道のりは、ちょっと発展途上国っぽい雰囲気がありました。
けれども、ホテルに着いて部屋に入り窓を開けた瞬間に目の前に広がった真っ青な海が、すべてを一変させました。
白い部屋の空間と、窓の向こうに広がる青。その景色を見た途端、いつもは気になる小さいことが気にならないくらい穏やかな気持ちになっていました。
キプロスの空気が私をリラックスさせてくれたのだと思います。
細かいことを気にしがちな私が、なーんにも考えずにぼーっとして、息子と本を読んで、歌って遊んで、そのまま一緒に寝落ちするという、ただただ、幸せな午後でを過ごした1日目でした。

旅先での予定を詰め込みがちで、動き続けている方が好きな私ですが、キプロスでのホテルステイ中には、いつの間にか心地良いルーティンが出来上がっていました。
朝、海沿いをジョギングをした後、毎日大好きな美味しいオムレツを朝食に作ってもらって、まったり10時のクローズまで居座ります。
その後、息子とプールで遊んで、冷たい海で1人でガチ泳ぎ。途中でサウナを発見し、冷えた体を温めているうちに気持ち良くて寝てしまい、「はっ」と起きて飛び出るのを毎日繰り返していました。
お気に入りのホテルの隣のレストランで遅めランチを取った後は、午後も冷たいけど綺麗な海でガチ泳ぎと息子と遊ぶを繰り返し。
夜は賑やかな大通りのレストランで伝統料理のディナーをいただいたり、お気に入りレストランでいつものメニューを頼んでお腹いっぱいになった後は、部屋に帰って早めに寝ました。
旅先でも“自分の心地よさ”をちゃんと選び取っていくと、こんなにも満たされるのだなと思いました。
人間の体と心は、「環境に慣れて、そこで一番心地良い生き方を見つけていくものなのだ」ということも実感しました。私たちの体や心って、適応性が高いのです。
そして「旅」というのは、刺激だけではなく、“自分にとって気持ちいいルーティン”を再発見する時間でもあるのかという気づきも私にとっては大きかったです。

まだ前菜だけなのにこの量!
ビーチリゾート滞在中、曇りの一日もありました。「こういう日だからこそ違う楽しみ方を!」と夫が提案して来たのが、ホテル隣のお気に入りのカジュアルレストランで、いつもと違うものを頼んでみること。
その名も、メゼメニュー(1人22ユーロ)。普段はメインプレート13〜16ユーロの単品を食べていて、それもすごく大きくて食べきれないぐらいの量があって、とても美味しいのですが…、ドーンと運ばれてきた食事はすごい量!これが2人分?!
前菜は、ギリシャ風サラダ、ホムス、タヒナ、茄子のペースト、タジキ(ヨーグルトにきゅうりが入ったディップ)などのディップ盛り盛り。揚げ物2品(1つはズッキーニ、もう1つはチーズとコーン入り)、ハルミチーズにいちじくジャムをのせたもの。
そして、メインは「スティファド(玉ねぎと煮込んだお肉)」、豚肉と鶏肉の串焼きそれぞれ、「ムサカ(ジャガイモとチーズとナスのグラタン的なもの)」、山盛りのフライドポテト。
食べきれない量で、しかも全部美味しいだなんて!これが22ユーロ? 何かが間違っているとしか思えない!
まさに退屈な曇り空を、胃袋からひっくり返したランチでした。地味な日は、美味しさでときめきを取り戻しました。
また、イースターの日曜で、お店はどこも閉まっていてどこにも行けずにホテルステイをしていた午後。
ホテルのプールサイドで突然大掛かりな準備が始まり、伝統音楽とダンス付きのスペシャルイースターランチが開催されるとのこと。
価格は1人50ユーロ!「ただのバーベキューなのに高い!」と思いましたが、気づいたら夫がすでにテーブルを予約していていました。
参加してみると、真っ白なテーブルクロスに黄色いお花が飾られて、民族衣装のダンスと音楽、イースター限定の詰め物パン。
特別なお祝いの空気にちょっとウキウキして、「これはこれで、アリか」という気持ちになりました。
たまには心地よくハッピーに特別な雰囲気を楽しむために、普通に考えたら「あれ?」と思う値段を払うのもヨシ、と学んだ経験でした。

甘くて軽いコマンダリアワインを試飲
強風で海は大荒れの日。プールも天気が悪すぎて泳げない。そんな時、夫が「今から車を借りてどこか行こうか」と提案します。
私は「今日の今日で借りられるの?」と半信半疑だったけれど、夫はすぐにレンタカーの店へ。
少しして戻ってきた夫が、「ディスカウントしてくれて、3日間で120ユーロだった!」と、天気予報が不安定な数日間を見越して車を借りてきてくれました。
その足で、夫がインターネットで見つけたワイナリーに電話し、空いていたので行ってみることに。
Ayia Napaから車で1時間半の場所にあるそのワイナリーは、なんとUNESCO認定の、世界で2番目に古い5500年の歴史を持つ「Commandaria」ワインの生産者でした。
甘くて軽いCommandariaワインを無料で試飲。オーナーの丁寧な説明を聞きながらいただくそのワインは、本当に美味しくて、歴史や製法について学ぶのも嬉しい体験でした。
感動して何本か購入し、オーナーの勧めで別のモダンなワイナリーへ。そこでは白と赤の地元ワインをテイスティング。美しい高台の景色も相まって、とっておきの経験になりました。
結局この日しか使わなかったけれど、「保険」のようなもので、車があることで「どんな天気でもどんとこい!」と心の余裕ができました。
曇りでどんよりした日が、夫のおかげで特別な一日になりました。
いつも私の枠を外してくれる夫。こうやって自分では選ばないものも選んでくれる人がそばにいるのって良いなぁと、感謝の気持ちが溢れた瞬間でした。

首都ニコシアからは歩いて北キプロス(トルコ)の国境を渡れる場所があります。こちらはトルコ側の風景
キプロスという小さな島で出会ったのは、「予定外の幸せ」と「今この瞬間の豊かさ」。
旅って、“どこに行くか”じゃなくて、“どう感じて、どう在るか”なんだと思います。
家族との時間から、深い気づきや感謝をもらった今回の旅。次はどんな国で、どんな出会いが待っているんだろう。そして、どんな“新しい私”にまた出会えるのか。
これからも私は、自分の人生を、自分の感性で選び取る旅を続けていきたいと思っています。
皆さんの、「ちょうどいい旅の過ごし方」はどのようなものですか?
楽しみながら、でもしっかりと、自分の人生をアップグレードしていく。そんな旅を、これからも重ねていきます。
最近は、そんな旅や気づきをシェアする小さな場所も作り始めました。日々の暮らし、語学、海外でのキャリアのこと。私なりの視点で、大事にしたいことを少しずつ綴っていきます。
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Written by Towami(ドイツ)