
懐かしのアンナミラーズが3年半ぶりに日本に復活というニュースを見て、「お!」っと思った方はいないだろうか?
私もそんな一人。ショーケースにずらりと並ぶボリューミーなパイ。そして、あのユニフォーム。アメリカンな雰囲気を味わいたくて、昔友達と行ったことを思い出した。
でも、今回改めて気になったのが、ロゴの下に書かれた “Pennsylvania Dutch Pies” という言葉。
「Dutch?あれはダッチパイだったの?!」。
オランダに住む前はまったく意識していなかったが、今回とても気になった。
なぜならオランダではアップルタルトは有名だが、パイが注目されることはあまりないように思う。
そこで改めて調べてみたら、歴史的に面白い事実が分かったので、今回はコラムで紹介したいと思う。

実は、Pennsylvania Dutchの“Dutch”はオランダを意味していない。
これは、18世紀にアメリカ・ペンシルベニア州へ移住したドイツ系移民のことを指す。
彼らは自分たちを “Deutsch” と呼んでいたが、それが英語圏で“Dutch”と聞き取られ、そのまま定着したという。
つまり、「Pennsylvania Dutch = ペンシルベニアのドイツ系アメリカ人」という意味なのだ。
歴史的な言葉のズレが、そのままブランド名として残っているわけだ。
なので、ユニフォームもドイツ風。オクトーバーフェストでよく着られるドイツの民族衣装「ディアンドル(Dirndl )」っぽいと思った私の感覚は正しかったようだ。
あれはオランダというより、ドイツ農村文化やアーミッシュの影響を受けたイメージ。背景を知ってとても腑に落ちた。

Pennsylvania Dutchの伝統パイは、
・クランブルトップのアップルパイ
・シューフライパイ
・カスタード系パイ
など、家庭のキッチンから生まれたレシピが中心。
一方、オランダの appeltaart は分厚く、しっとりしたタルトタイプ。
同じ“ダッチ”でも、少し違う文化が広がっている。
ブランド名やメニューの言葉を、私たちは何気なく受け取っているが、その奥には移民の歴史や言語の誤解、文化の交差が隠れている。
アンナミラーズの復活は、懐かしさやグルメとして楽しむだけでなく、アメリカ移民史の一面に思いを馳せながら味わうと、あのパイの味もまた違ったものに感じられるかもしれない。
Anne Miller’s公式サイト:https://www.annamillersrestaurant.jp/
Written by 藤村ローズ(オランダ)