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ブラジル人の距離感はなぜ近い?ハグとキスの文化

2026年4月24日
HIROMI (ブラジル)

初対面でハグとキス?

Olá!! ブラジル・サンパウロ州在住のHIROMIです。気付けば、ブラジルに移住してから14年目になりました。

ブラジルに来て、最初に驚いたことの一つが「人との距離の近さ」でした。

この距離の近さに戸惑う日本人の方も多く、よく聞かれるのが「初対面のブラジル人とのキスやハグにはどう対応すれば良いのか」という質問です。

実際には、すべての場面でいきなりハグやキスがあるわけではなく、初対面の場合は軽い握手で始まることもあります。

特に、少しフォーマルな場面や相手との関係性がまだできていない時には、その方が自然です。

それでも、少し打ち解けた瞬間に距離は一気に縮まります。

次に会った時には、もうハグと頬へのキスに変わっていることも珍しくありません。

 

日本人が戸惑う「距離感」の正体

初対面のブラジル人にハグをされ、そのまま頬にフリではなく濃厚ともいえる頬キスをされた時、正直なところどう反応していいか分からず、その場で頬を拭くわけにもいかず、苦笑いのまま体が一瞬固まったこともありました。

軽く挨拶をするつもりで一歩近づいたら、そのまま自然に距離を詰められ、気付けば顔と顔がすぐそばにあり、日本ではなかなか経験しない“近さ”に戸惑いました。

日本では、初対面の相手とはある程度の距離を保つのが普通ですよね。

それが礼儀であり、相手に対する思いやりでもあり、相手の空間に踏み込みすぎないことが、心地よい関係をつくるとされています。

けれど、ブラジルではその“距離”の意味がまったく違います。

距離が近いことは「失礼」ではなく「親しさ」の表現です。むしろ、距離を取りすぎると「壁を感じる」「心を開いていない」と受け取られてしまうことさえあります。

 

地域で異なる頬キスの回数

そして、面白いのが、この“頬キス”にも地域差があるという点です。

例えば、私が住むサンパウロ州では1回が一般的ですが、地域によっては2回、場合によっては3回ということもあります。

サンパウロ州、リオデジャネイロ州などは1回。ミナスジェライス州、南部(リオグランデ・ド・スル州など)は左右2回。一部地域や特定のコミュニティ(ヨーロッパ系の影響)では3回。

最初の頃はその違いが分からず、「あ、終わりかな」と思った瞬間にもう一度来てしまい、タイミングが合わずにお互い少し笑ってしまったこともありました。

そんな小さなすれ違いさえも、今ではどこか微笑ましい思い出になっています。

ちなみに、男性同士の場合は少し様子が違います。初対面やフォーマルな場面、ビジネス、年上の相手だと、しっかり目を見て手を握ります。

友達・知人レベルだと、握手しながら肩や背中を軽く叩き、親しい友人や久々に会った友人は、男性同士でも普通にハグをします。

男性同士では基本的にキスはしません。ただし、家族(父と息子など)の場合はします。

男性から女性には、頬キスになることが多いです。

このように、初対面では握手から始まり、関係が近くなるにつれて肩を軽く叩いたり、ハグに変わっていきます。女性同士の挨拶とはまた違う、距離の縮め方があります。

 

ブラジルの人たちの距離感が近い理由

一つは、家族との関係の深さです。ブラジルでは、家族同士のつながりがとても強く、幼い頃からスキンシップを取ることが当たり前の環境で育ちます。

挨拶のハグやキスは特別なものではなく、ごく自然な日常の一部です。

もう一つは、感情表現の豊かさです。「嬉しい」「会えてうれしい」「大切に思っている」——そういった気持ちを、言葉だけでなく体でも表現します。

ハグやキスは、そうした感情をまっすぐに伝える手段の一つなのです。

ただ、この“当たり前”が大きく揺らいだ時期がありました。それが、COVID-19のパンデミックです。

パンデミック時期、人と距離を取ることが求められ、ハグもキスも控えなければならなくなり、あれほど日常だったスキンシップが、一気に「避けるべきもの」へと変わりました。

挨拶は遠くから手を振るだけ、あるいは軽く握手をすることさえためらわれる時期もありました。

肘と肘を合わせるぎこちない挨拶に、どこか寂しさを感じた人も多かったのではないでしょうか。

 

単なる習慣ではないと気づいた瞬間

人との距離が近い文化だからこそ、その変化はとても大きかったのだと思います。

実際、私自身も最初は戸惑いの連続でした。「どのタイミングで近づけばいいの?」「これは受け入れるべき?」と、毎回少し身構えていました。

距離が近すぎて、思わず一歩引いてしまったこともあります。しかもノーマスクで。

けれど、そのたびに相手は特に気にする様子もなく、いつも通り笑顔で接してくれました。

その自然さに触れるうちに、少しずつ自分の中の“当たり前”が揺らいでいきました。

そして、ある時ふと気付きました。この距離の近さは、単なる習慣ではなく「人とのつながりを大切にする姿勢」そのものなのだと。

久しぶりに会えば、言葉より先にハグがある。落ち込んでいれば、そっと肩に手を置いてくれる。

言葉にしなくても、「あなたは一人じゃないよ」というメッセージが自然と伝わってくるのです。

 

安心感を与えてくれる温かい距離

パンデミックが落ち着き、少しずつ人々が元の挨拶を取り戻していった時、そのハグやキスには、以前よりもどこか「特別な意味」が込められているように感じられました。

触れられること、近くにいられること。それが当たり前ではなかった時間を経験したからこそ、その温かさがより深く心に残ります。

気が付けば、あれほど戸惑っていた距離感が、少しずつ心地よいものへと変わっていました。

最初は勇気が必要だったハグも、今ではどこか安心感を与えてくれる存在になっています。

距離の取り方は、文化によってこんなにも違います。どちらが正しいというわけではなく、それぞれに背景と意味があります。

しかし、その違いに触れ、受け入れていくことで、自分の中の世界は少しずつ広がっていきます。

最初は「近すぎる」と感じたその距離が、いつの間にか「温かい距離」に変わっていました。

ブラジルでの毎日は、そんな価値観の変化に気付かせてくれる、ささやかな発見の連続です。

今回も最後まで読んでくれて、Muito obrigada!!

Written by HIROMI(ブラジル)

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