
こんにちは、土屋 芳子です。前回のコラムでは、マレーシアで「愛南の鯛」を広めるためのプロジェクト始動と、その戦略についてお話ししました。
今回はその続きで、名店「なだ万」の職人魂が光るメニュー開発の裏側や、現地のメディア・インフルエンサーを驚かせたイベント当日の熱気あふれる舞台裏をたっぷりとお届けします。
企画書の内容をもとに、Zipanguのヘッドシェフとメディア用お披露目イベントでどのような演出をしたらいいか話し合います。
Zipanguの現在のヘッドシェフは滝沢和夫氏で、なだ万一筋30年。
以前は帝国ホテルの料理長をしていたこともある、それはそれは素晴らしいシェフで、私も以前から尊敬していました。
滝沢シェフの手にかかれば、素敵なコースができることは疑いようもありません。
鯛をいかにおめでたいものとして見せるか、メディアイベントでどう驚きを作るかを話し合いました。
マレーシアの方で、高級な日本の懐石料理を理解している層はかなり限られます。
一般の富裕層レベルのお客様には、よほど人気やインパクトのある食材でなければ、通常はただ「高級な日本料理」という印象しか持たれないでしょう。
だからこそ、いかにインパクトを出すか、写真を撮りたいと思わせるかが、メディアやインフルエンサーに広めてもらえるかの鍵となります。

コース料理を出すオペレーションや効率も含めて考えて、お頭付きの鯛のお刺身を10〜20尾一度に並べて、写真を撮った後に提供する形にしようと決まりました。
1尾が2kgもある、大きく立派な愛南の鯛が丸ごと1尾だけでもインパクトがありますが、それが10〜20尾一度に集合したら、どれだけ華やかになるでしょうか。
お頭付きの鯛の刺身は2〜4人で1尾をシェアする形にし、それを軸にした鯛尽くしコースを滝沢シェフに作っていただきます。
滝沢シェフの考案したコースメニューは、さすがの一言です。
鯛尽くしの3種の前菜、シェフも大好きなシンプルな料理であるアクアパッツァの和風アレンジ、お客様が喜ぶ「割る演出」を考えた1人前サイズの鯛 of 塩釜焼きも入っています。
そして鯛の定番人気メニューである鯛茶漬けと、締めのさっぱりした甘夏のゼリー。
そこに「マレーシアの人は揚げ物が好きだから、揚げ物をプラスしてほしい」とお願いし、木の芽が香る鯛のカツサンドを入れてくれました。

シャングリ・ラのマーケティングとPRの各スタッフと、事前PR用の動画コンテンツ制作をしたり、メディア招待のための打ち合わせを重ねたりしながら、メディアイベント当日になりました。
2日に分けて合計20組40名のメディアとインフルエンサーを招き、スタートしました。
イベント2日目には花も届き、桜に見立てたカスミソウのデコレーションもイメージ通り。
料理の美味しさと美しさはもちろんのこと、滝沢シェフの鯛カッティングとシェフたちの盛り付けデモンストレーション、春らしい鯛の集合ディスプレイ、塩釜を割る演出。
この3つの見せ場があることで、とても盛り上がりました。
「魚があまり得意ではないけれど、このイベントで本当に美味しくて感動した」とか、「お刺身が苦手でまったく食べる気がしなかったけれど、勧められて食べたら美味しくて完食した」などの声も聞き、嬉しく思いました。

最後に、シャングリ・ラの敏腕スタッフの皆さんと、Zipanguのヘッドシェフである滝沢さんと、この数ヶ月、何度も調整を重ねてきました。
寝られないほど忙しく必死で働きながら、同じく寝れないほど工夫をしてくれている滝沢シェフに、「感謝の気持ちを日本語で伝えたいからGoogle翻訳したけれど合っているか」と聞いてきたスタッフAさんがいました。
ちょうどその数日前に、滝沢シェフが「Aさんも頑張ってくれているから僕も頑張りますよ」と言っていたことに、心が温かくなりました。
このように感じたチームワークや、多くの発見、学び、そして超一流のプロフェッショナルと関わらせていただく喜びをひしひしと感じる数ヶ月でした。
本当に感謝です。満足いただけるコースが完成しましたので、ぜひZipanguで体験してください。
【愛南真鯛の芸術 AINAN RED SEA BREAM Experience】
場所:Zipangu, Shangri-La Kuala Lumpur
開催期間:23 April – 22 May 2026
ご予約はこちらのホームページから
インスタグラム:Shangri-La Kuala Lumpur
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Written by 土屋芳子(マレーシア)
土屋 芳子(マレーシア)