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仕事は消耗だけじゃない。オーストラリアの職場で見えた支え合いと心の安心感

2026年5月8日
野林薫 (オーストラリア)

職場が私に与えてくれたこと

私はオーストラリアで精神障害者の日常生活自立支援の仕事をしています。

人の心に寄り添う仕事をしていると、「大変ですね」と言われることがよくあります。

たしかに、メンタルヘルスの現場は簡単ではありません。

誰かの不安や気持ちの揺れに触れる日々の中で、自分自身も少し疲れていると感じることはあります。

けれど、「仕事は心をすり減らすだけの場所ではない」と私は思うのです。

今回は仕事が私に与えてくれる安心感や、人とのつながりについて書いてみました。

 

チームで支え合うということ

仕事をしていると、つい「みんな忙しいんだから、自分で解決しなきゃ」という意識にかられる時があります。

けれど、私の職場では一人で抱え込まないこと、「チームなんだから、助けを求めて当たり前」が自然と共有されています。

私のマネージャーの口癖は、「I’m happy to help」です。

その一言に、どれだけ救われてきたか分かりません。「大丈夫?」と声をかけてもらうだけで、張りつめていた心がふっとゆるむこともあります。

チームとは、競い合う関係ではなく、同じ方向を見て、助け合いながら進んでいく関係です。

この仕事を通して、チームワークの本当の意味を知りました。

そして、今はその関係の中で「私は支えられている」と感じています。

 

小さな会話で「ほっとする」時間を共有する

忙しい日々の中では、つい効率を優先してしまいがちです。

けれど、業務とは関係のない短い会話や、ふとした笑いが、思いがけず心を整えてくれることがあります。

ほんの数分の雑談や同僚たちの笑顔が、その日一日の気持ちを少しやわらかくしてくれます。

そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

個人で仕事に集中する合間にも、笑顔や声かけを心がけることで、自分自身や同僚の気分転換につながることがあります。

その小さな積み重ねが、気付かないうちに、働く場の心地よさを作っているのかもしれません。

 

安心できる関係を持つ

職場の中に、「そのままの自分でいてもいい」と思える人がいる。それだけで、人はずいぶん安心して働けるものです。

私の職場では、3か月に1度マネージャーとの個人面談があります。

仕事の評価ではなく、あくまでスタッフのメンタル面のチェックやサポートのための時間です。

自分の正直な意見やプライベートの現況を話すことで、ずいぶんと心が軽くなります。

特別なことをしなくてもいい。ただ同じ場所にいて、同じ空気を共有できる関係があること。

それが、心の回復につながっていると感じます。

「仕事=消耗するもの」という考え方は、決して間違いではありません。けれど同時に、仕事は人と継続して関わっていく場所でもあります。

その関わりの中で、心が整っていくこともある。心の回復の場所は職場の中にもあるのだと、私は思います。

Written by 野林薫(オーストラリア)

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