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「分かる」って何だろう?セラピー現場で感じること

2026年5月13日
佐古祐子 (アメリカ)

人間の最も大きなストレス

私は、カリフォルニアで心理セラピストとして活動していますが、「分かってもらえない」ということが、人間にとって最も大きなストレスの一つになると日々感じています。

「分かってもらえている感じがしない」と、クライアントさんはセラピーをやめていきますし、「分かってもらえている感じがしなくて辛い」という理由で来られる方もたくさんいます。

それほどまでに、「分かってもらえる」という感覚は、人間にとって重要なもののようです。

その一方で、「分かってもらえる」感覚を生み出すことや、「誰かを理解すること」は、とても難しいとも感じます。

「分かろう」とすると、「分かったようなことを言わないで」と反発が起きることもあります。

でも、そう言う方ほど、本当は「ちゃんと分かってもらいたい気持ち」が強かったりもします。

「『分かる』って何だろう?」と真面目に考え始めると、少しゲシュタルト崩壊が起きそうになるテーマです。

 

「分かってもらえない」が起きる時、心の中で起きていること

海外で暮らしていたり、国際結婚の中にいたりすると、「分かってもらえない」という感覚に出会う場面は増えるかもしれません。

言葉は通じているはずなのに、気持ちだけがすれ違う。説明しているのに、どこかでズレていく。あるいは、そもそも説明する気力すら湧かないこともあります。

「言ってもどうせズレて返ってくる」「言ってもどうせ伝わらない」と感じると、思っていることがあっても、言葉にすること自体が面倒になってしまうこともあります。

そんな時、「もっと上手に説明できればいいのに」「私の伝え方が悪いのかもしれない」と、自分に原因を向けてしまうこともあるかもしれません。

でも実は、「分かってもらえない」という感覚の裏側には、コミュニケーションの問題だけではなく、もっと内側のプロセスが関係しています。

それは、「自分の感情が、まだ自分の中でも整理されていない状態」です。

悲しさと怒りと寂しさが混ざっている時、人はそれをそのまま言葉にすることができません。

結果として、言葉は散らばり、相手にも伝わりにくくなり、「どうせ分かってもらえない」という結論に、心が急いでしまいます。

さらに、海外生活や国際結婚では、「普通こう思うでしょ」という前提が共有されていないため、孤独感が強まりやすくなります。

 

感情と「分かってもらいたい」という本当のニーズ

ここで大切なのは、「分かってもらえない=関係がダメ」ということではない、という視点です。

むしろ、「分かってもらえない」と感じる瞬間は、自分の中の本音や感情が、まだ言葉になる途中にあるサインでもあります。

たとえば、

・本当は悲しいのに、怒りとして出ている
・本当は寂しいのに、冷たく振る舞ってしまう
・本当は助けてほしいのに、「大丈夫」と言ってしまう

こうしたズレは間違いではなく、心が自分を守ろうとしている自然な反応です。

だからこそ、「分かってもらうこと」の前に、「私は今、何を一番感じているんだろう?」と、一度立ち止まってみることが大切です。

自分の中で感情が少しずつ整理されていくと、他者とのコミュニケーションも変わっていきます。

説明のための言葉ではなく、「自分の状態を共有する言葉」へと変わっていくからです。

 

「分かってもらう」はゴールではなく結果なのかもしれない

頭で考える「思考」と、自分が感じる「感情」は、似ているようで別物です。

思考は自分が作るストーリーであり、感情は「今この瞬間」に身体で感じる感覚です。

日々頑張っている人ほど、思考に頼りがちです。しかし、感情は自分を知るための大切な手がかりでもあります。

「分かってもらいたい」という気持ちが強い時、実は一番分かってもらいたい相手は「他人」ではなく、「自分自身」なのかもしれません。

「あなたに分かってもらいたいよ」と、あなたの心が静かに叫んでいるのかもしれません。

【カリフォルニアで心理セラピストをしています】

不安を感じやすい・完璧主義・白黒思考・人との境界線についてよく悩む・海外生活でのストレス・海外での子育ての悩み、などカリフォルニアにお住まいの方は、こちらからお気軽にお声がけください

Written by 佐古祐子(アメリカ)

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