
マカオに、世界ウーマンで繋がった友人二人が遊びに来てくれた。
世界遺産の街並みを歩き、ポルトガルレストランで食事をし、おしゃべりを楽しむ。
住んでいる私にとっては見慣れた景色だったのに、後日、二人が撮影した写真を見て驚いた。
「え、マカオってこんなに素敵だった?!」と思ったのだ。
以前、マカオの路地裏街歩きの魅力をコラムに書いたように、比較的、面白いものを見つけるアンテナを立てているつもりの私である。
それでも日常生活では、世界遺産の石畳も、カラフルな建物も、「いつもの風景」として通り過ぎている。
でも友人たちは、「かわいい!」「雰囲気がいい!」「ここは南米エクアドルを思い出させる!」などと何度も立ち止まり、シャッターを切っていた。
その視線を通して見ると、私の中でマカオが再び「ときめく観光地」に戻った気がした。

左:レストラン「リトラル」の名物の一つ、あさりのクリーム煮 右:お土産の定番「ポルトガル産イワシの缶詰」
人は慣れる生き物だ。どんなに魅力的な場所に住んでいても、毎日の景色になると感動は薄れていく。
東京の人がなかなか東京タワーへ行かないのと同じで、「いつでも行ける」は、「行かない」になる。
他人の視点は、そんな感覚を揺り戻してくれるのだと思う。
今回、もう一つ「再発見」したものがある。昔から有名なポルトガルレストランだ。
名前はもちろん知っていたし、「有名店」という認識もあった。でも、「いつでも行ける」と思ううちに、何年も足を運んでいなかった。
ところが久しぶりに行ってみると、料理が驚くほど美味しかった。
実際にミシュランのビブグルマンにも選ばれている店なのだが、「知っている」と「体験している」はまったく違うのだと実感した。
同じことは、マカオの定番土産でもあるポルトガル産イワシの缶詰(オイルサーディーン)にも感じた。正直、私は「パッケージを可愛くした観光客向け商品」くらいに思っていた。
ところが、友人が帰国後、そのオイルサーディーンを使ったパン粉焼きの写真を送ってくれた。それが本当に美味しそうで、「私も作ってみたい!」と一気に印象が変わった。
知識だけで分かった気になっているものは、意外と多い。「知ってるつもり」が一番損をしているのかもしれない。

海外生活をしていると、その土地への感覚が少しずつ日常化していく。最初は感動していた景色や文化も、いつしか当たり前になる。
でも、誰かが遊びに来ると、自分の街を案内し、その魅力を言葉にする。その過程で、自分自身もその街をもう一度知り直している気がする。
今回、マカオを再発見できたのは、友人たちとの時間があったからだ。
「どこへ行くか」も大事だけれど、「誰と見るか」で世界の見え方は変わる。
人との繋がりは、街の魅力だけでなく、自分の感性までアップデートしてくれるのだと思う。
そして最近感じるのは、「再発見できる力」は幸福度にも繋がるということだ。
見慣れた街、いつもの店、昔から知っているもの。その中に新鮮な感動を見つけられると、日常は少し楽しくなる。
私たちはつい、「新しい何か」を探してしまいがちだ。
でも、人生の醍醐味は、今あるものの魅力をもう一度見つけられることなのかもしれない。
Written by 周さと子(マカオ)