
以前のコラムで、母乳育児が怠け者だった私を変えてくれたことについて書いた。
子育てが落ち着いてから徐々に経済的自立を取り戻し、自分のやりたいことも続けられている私のキャリアはなかなか悪くないと自己満足している。
今回のコラムでは、私がどのように女性ならではの人生イベントを乗り越えながら、自己実現してきたかを振り返ってみたいと思う。
まず言えるのが、子供が小さな頃私が育児に専念できたのは、当時ほぼ専業主婦だったからだ。
元々働くことが好きな私だったが、「子供が小さい間は自分で」という思いが強く、生まれるまで迷っていたものの、色々なことが起こって、家族のサポートメインの生活を送ることとなった。
子供が小さな頃は、何度か国を越えた引っ越しがあったので落ち着かない時期があったが、息子が小学校に入ってから徐々に社会復帰し始めた。
大黒柱ではないこと、私の収入が家計に関係ないことで、自由な活動ができたことはとても大きかった。
といっても、主婦業は24時間営業状態で業務は無制限。不器用な私には結構大変だったのだが、会社員生活と比べると柔軟性があり、いろんなことに取り組みやすかった。

男性と比べて、女性のキャリアは直線的に進むのが難しいことも多い。
育児や家庭のタイミングで退職したり、パートタイムで働いたりする期間ができることも少なくない。
しかし、OECDの報告ではこうした「非直線的キャリア」が、柔軟な思考力やマルチタスク能力、問題解決力など、後の職場でのリーダーシップに結びつくことが指摘されている。
私も子供が生まれるまではマルチタスクがとても苦手だったが、子育てを通してずいぶんとできるようになった。子育ては想定外の連続なので、とっさの判断力、柔軟性、許容性も高まった。
また、家庭での経験は一見評価されにくいが、実は自己成長や能力開発の大きなチャンスでもある。
隙間時間を活用して学び直しやリスキリングをしやすい期間なので、私はプログラミングを学んだり、語学試験を受けたりして、その後の仕事に役立て、ビザも補強することができた。
育児や家事を通して培った計画性や対人スキルは、プロジェクト管理やチーム運営に直結すると研究でも認められていて、ママ友たちの姿を思い浮かべてはまさにそうだと思う。

出産・子育てを通して得られたよかった他の能力としては、短時間睡眠でも体力回復できるようになったことかもしれない。
桶谷式で「連続睡眠時間Max3時間」という生活を送っていたので、5,6時間連続した睡眠が取れたらほぼ回復できる体質になったようである。
授乳期最後の方は毎時間のように泣かれていたので、寝たのか寝てないのか分からないような生活だったが、それでもなんとか家事と子育てはできていた。低血圧でロングスリーパーだった私にしては大躍進である。
ビジネスはやはり体力勝負。女性が男性ほど社会で活躍できない理由として「体力差」があると思うので、これはかなりのアドバンテージである。
女性のキャリアは、分かりやすくまっすぐに続けるのは難しいかもしれない。
でも、社会的プレッシャーの大きい男性より自分らしいキャリアを築いていきやすいという一面もある。
そのためには、キャリアを完全に止めてはいけない。少しでもいいから続けること。
子供が小さく、社会で働くのが難しい時間を逆に生かして、家族や家庭のことを中心にしながら、自分の課題に向き合ったり、能力を伸ばしたりすることは十分に可能である。
現代では男女平等が叫ばれ、女性も社会で活躍できる場は増えた。
しかし、女性ならではの感受性や家庭での見えにくい努力が軽視され、評価されにくい状況もあり、結果として自分の能力や選択に自信を持てなくなる女性も少なくない。
だからこそ、現状に流されず、自分の能力や役割を信じて挑戦することが自分の持つ本来の力を発揮する一歩となるはずだ。
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Written by 藤村ローズ(オランダ)