
オーストラリアに暮らしていて、日本とオーストラリアのコミュニケーションスタイルの違いを感じることがあります。
例えば、「感じがいい対応」とは、どのような対応でしょうか。
日本では、丁寧な言葉遣いや礼儀正しさが、その基準になることが多いように感じます。
一方、オーストラリアで暮らしていると、「話しやすさ」そのものが、人との距離を縮める大切な要素になっていることに気付かされます。
今回は、オーストラリアと日本のコミュニケーション文化の違いについて考えてみました。

日本の接客や電話応対には、独特の美しさがあります。
丁寧な敬語、落ち着いた話し方、相手を不快にさせない細やかな配慮。
そこには、「相手に失礼がないように」という意識が深く根付いているように感じます。
実際、日本では電話応対コンテストが開催されるほど、「正しい応対」が重視されています。
その背景には、「礼儀を通して相手を尊重する」という、日本らしい価値観があるのでしょう。
私自身、日本の接客の丁寧さに感動することは今でもあります。
安心感があり、気持ちよくサービスを受けられる。日本の「きちんとした優しさ」は、世界に誇れる文化の一つだと思います。

一方、オーストラリアでは少し違う空気を感じます。
もちろんフレンドリーさはありますが、それ以上に重視されているのは、「ちゃんと助けてくれるか」ということです。
多少くだけた話し方でも、問題を解決してくれたり、親身に対応してくれたりすれば、「いいサービスだった」と感じる人が多い印象です。
オーストラリアでは、「完璧な応対」よりも、「相手が安心して話せること」が重視されているのかもしれません。
以前、契約している電力供給会社に問い合わせの電話をした時、私の質問にとてもフレンドリーに対応してくれた上に、電話を切った後、要点をまとめたメールまで送ってくれたスタッフの方に感動したことがあります。
カジュアルな雰囲気が日常にあふれているのは、この国らしさの一つです。
そこには、「相手が話しやすいか」を大切にする文化があります。

日本が「礼儀を保つコミュニケーション」だとすれば、オーストラリアは「関係性をつくるコミュニケーション」です。
どちらが正しいということではなく、人との距離感の取り方が違うのです。
丁寧さには美しさがある。そして、話しやすさには人を安心させる力があります。
オーストラリアで暮らしていると、その「安心感」に何度も助けられている気がします。
Written by 野林薫(オーストラリア)