
子育てをしていると、不思議な感覚になることがあります。
「もう限界、早く楽になりたい」と思っていたはずなのに、いざ子どもが少し成長して手が離れそうになると、急にさみしくなるのです。
私は今、2歳、4歳、7歳の子どもを育てています。
毎日は本当に慌ただしく、静かな時間なんてほとんどありません。誰かが泣き(叫び)、誰かがお腹を空かせ、誰かが「ママ見て!」「ママ、遊んで!」と呼ぶ。
やっと座れたと思ったその瞬間に、また誰かに呼ばれる(苦笑)。
部屋を片付けたいのに、片付けているそばから子どもたちが私の後ろでまた別のものを引っ張り出している。
床に落ちている小さいおもちゃのパーツを踏んづけて「痛ってー!」と叫ぶ。
「ママ、〇〇がない!探して!〇〇じゃないとダメなの!」と言われるので、「片付けないからこうなるのよ〜も〜」だとか言いながら子どもが求める〇〇を必死に探しては、「ぎゃー、もうこんな時間!」と失った時間に気がついてめちゃくちゃ焦る。
そんな毎日の繰り返しです。

正直、「あともう少し、あと数年の辛抱だ」と日々自分に言い聞かせ、「早く、早く大きくなってほしい」と思う瞬間もあります。
夜しっかり眠ってほしい、自分で着替えてほしい、自分で食べてほしい、少しだけ静かにしてほしい。
母親なら、多くの人が一度は感じたことがある気持ちだと思います。
自分のペースで物事を進めたい。一人で罪悪感を感じることなく出かけたい。ゆっくりお茶でも飲みながら、誰にも邪魔されることなく本を読みたい。
でも、ある日ふと思います。「この、騒がしい今は永遠ではないのだ」と。
2歳の子どもが全身で抱きついてくる重み。4歳の「ママ、これできた!」と誇らしそうな顔。7歳の少しお兄さんになった会話。
どれも、気づけば少しずつ変化している。
子どもは成長する。分かっていたはずなのに、その変化は思っていたより静かで、あっという間です。

子育て中は、「今を大切にしよう」と言われても難しいことがあります。余裕なんてない日、イライラしてしまう日もある。
SNSで見る“丁寧な子育て”なんて、とてもできない日だってある。
「子どもたちが小さくて、賑やかでいいですね。今が一番いい時よね、楽しんで」と慈しみに満ちた目で誰かに声をかけられたって素直に受け取れない日だってある。
そんな余裕がない。身体も、心も、時間に追われて、いっぱいいっぱい。あと一つ何か起きたら、次の瞬間泣いてしまいそうになることだってある。
それでも、子どもが寝た後に小さな靴を見たり、サイズアウトしたお気に入りの洋服を見たり、子どもたちの描いた絵や工作などの作品を見たり、おもちゃで散らかった部屋を見たり、ただ、彼らの安らかな寝顔を見ていると、「この時間は過ぎていくんだな」と胸がぎゅっとなるのです。
ちなみに、スタジオジブリの「魔女の宅急便」の娘と父の冒頭シーンをご存知でしょうか。
魔女修行に出発すべく実家を出るその日、主人公キキがお父さんに「ねぇ、高い高いして?小さい時みたいに」とお父さんに手を伸ばし、抱っこをせがむ。
お父さんが大きくなった娘のキキをなんとか高く持ち上げ、くるくる回ったその後にキキがお父さんの腕の中にポフっと落下し戻ってくる。
腕の中にいるキキを抱きしめながら「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろ」と呟くシーンは、親になってから観ると毎回号泣です。まだ映画始まったばかりなのに(笑)。

子どもが親から離れていくことは、悲しいことではないはずですよね。
私たちは、子どもが大きくなることを喜び、祝います。できるようになったことを「すごい!やったね!」と一緒に喜びます。
子どもがすくすくと育ち、成長していくこと。
本来、それはとても自然で健全なことであるはずなのに、それと同時に、親にとっては、子どもの成長のマイルストーン一つずつが、“一つの時代・フェーズの終わり”でもあるのです。
子どもの成長を喜びながらも「さみしい」と感じるのは、それだけ子どもと真剣に向き合い、関わってきたということなのでしょう。
子どもと話している時、子どものふとした仕草、表情、言葉に、たまにハッとしませんか?「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろ」って。
赤ちゃん・トドラー育児が終わった後は、また違う関係が始まっていく。
一緒に手をつないで歩く時間は減っても、学校の話をしてくれる日が来る。悩みを相談してくれる日が来る。大人同士のように笑い合える日も、きっといつか来る。
それでも今だけは、まだ小さな手が私を探してくれる。
「ママ」と呼びながら駆け寄ってくれる。
その日々の真ん中にいる私は、今日も疲れていて、幸せで、そして少しだけさみしいのです。
【カリフォルニアで心理セラピストをしています】
不安を感じやすい・完璧主義・白黒思考・人との境界線についてよく悩む・海外生活でのストレス・海外での子育ての悩み、などカリフォルニアにお住まいの方は、こちらからお気軽にお声がけください
Written by 佐古祐子(アメリカ)