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海外経験を自分の強みとして活かしていくためには?

2026年7月31日
岩井真理 (日本)

海外赴任帯同10年、40代のM子さんのお悩み

このコラムでは、世界中の読者から寄せられた仕事やキャリアに関するお悩みに対して、キャリアコンサルタントの岩井真理さんにご回答いただいています。

【相談内容】

シンガポール在住40代のM子です。夫の海外赴任に帯同して10年以上になります。

海外生活の中で、子育てや現地コミュニティ活動など、さまざまな経験をしてきましたが、最近ふと「私は何を積み上げてきたのだろう」と感じることがあります。

日本で働いていた頃のキャリアから離れて長く、今後あらためて仕事をしたいと思っても、自分に何ができるのか、自信を持って言えるものがありません。

海外生活を通して得た経験や価値観は確かにあるはずなのに、それをどう言語化し、社会や仕事に結び付ければよいのか分からず、不安になります。

このまま年齢を重ねていくことへの焦りもあり、「今からでも自分のキャリアを再構築できるのだろうか」と悩んでいます。

海外経験を自分の強みとして活かしていくためには、どのように考えていけばよいのでしょうか。

 

帯同期間は中断(ブランク)ではなく、ブレイク

【回答】

こんにちは。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援する真理です。

M子さん、長期間の海外帯同生活、本当にご苦労も多かったことと思います。お疲れさまです。

そんな中、「自分は何を積み上げてきたのだろうか」とふと考え、自信が持てずにいらっしゃるのですね。

まずお伝えしたいのは、パートナーに帯同して海外へ出られる方の約7割はキャリアを中断したり、仕事を辞めたりしているという事実です。

そして、その多くの方が帰国後の再就職やキャリアの再構築に漠然とした不安を感じています。だからこそ、M子さんのお気持ちはとても自然なものです。

かくいう私も、M子さんと同じように帯同家族でした。「いつかは日本へ帰るけれど、その時に日本社会に受け入れてもらえるのだろうか」と心配していました。

キャリアコンサルタントでありながら、「アイデンティティクライシス」に陥り、悶々とした日々を過ごしたこともあります。

そんな私が今、キャリアを中断した皆さんにお伝えしたいのは、「帯同期間は、中断(ブランク)ではなく、ブレイク。キャリアを再構築する契機である」ということです。

そもそも女性のキャリアは、ライフイベントによる「中断」と「再開」を前提としています。

海外帯同を経験しなくても、出産・育児・介護などでキャリアが途切れることは珍しくありません。そして、止まったキャリアは再構築できます。

そのため、「女性のキャリアは循環型」とも言われています。自分の資源(経験)を次のステージへ活かす考え方は、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の発想にも通じています。

 

経験を再活用するために大事なことは「自己理解」

日本でのキャリアをそのまま続けることも素敵です。

しかし、今のM子さんは、日本ではできないさまざまな体験をし、多くのことを知りました。だからこそ、新たな可能性があるかもしれません。

今は走り続けてきた日々を一度立ち止まって振り返り、キャリアを見直すターニングポイントだと考えてください。

経験は「使い捨て」ではなく、別の形で再活用できます。その視点を持って、ご自身の経験を見直してみましょう。

キャリアを見直す時に最初に必要なのは「自己理解」です。

自分自身が見えていないことで生まれる不安や誤解、勘違い、思い込みを一度手放してみましょう。

では、以下の4つの手順で自己理解を始めてみてください。

 

自己理解のための4ステップ

1. 帯同生活の棚卸し

海外へ出てからM子さんが経験してきたことを、できるだけ細かく書き出しましょう。

海外での子育て、知らない人との交流、コミュニティ活動、語学学習など、どんなことでも構いません。

私は帯同中に、人生で初めて「専業主婦」を経験しました。私にとってはとても新鮮な経験でした。

「専業主婦課」に異動したと思い、仕事と同じようにスケジュール管理やタスク管理をして過ごしました。

どうせ取り組むなら成果やクオリティにもこだわり、「いつかまた別の課へ異動する(また働く)」と思いながら、目の前のことに取り組んでいました。

 

2. 経験から得たこと、身に付いたことを考える

同じ経験をしても、人によって得られるものは違います。

だからこそ、「自分はどんなことができるようになったのか」を考えることが大切です。

例えば、

・海外子育て → 情報収集力、安全管理能力、時間管理力
・知らない人との交流 → コミュニケーション力、距離感を掴む力、気配り
・コミュニティ活動 → 主体性、提案力、発信力、ITリテラシー

など、日本にいた頃より成長したと感じることを書き出してみてください。

 

3. 身に付いた力を言語化する

これらの経験は、非公式なキャリアかもしれません。しかし、あえて名前を付けてみましょう。

例えば、「情報収集力」「マルチタスク力」「危機管理能力」「観察力」「自主性」「提案力」「発信力」「ITリテラシー」などです。

「〇〇力」「〇〇性」と名詞で表現すると、人にも伝わりやすくなります。

 

4. 強みを発見する

身に付いた力は、すでにM子さんの「強み」です。

「強み」と聞くと、特別な才能を想像する方も多いですが、本来の強みとは、「身に付いていて自然に発揮できる力」であり、「無理なくできること」です。

「ポータブルスキル」という言葉をご存じでしょうか。どこへ行っても持ち運べる能力のことです。

資格も大切ですが、それ以上に業界や職種を問わず発揮できる力こそ、大きな財産です。

この10年間で、M子さんに身に付いた力は必ずあります。

もし「私には強みなんてない」と思うなら、周囲から言われたことを思い出してみてください。

「M子さんって、こういうところがすごいよね」
「M子さんがしてくれた〇〇には本当に感謝している」

そんな言葉を掛けられた経験があるなら、それは立派な強みです。何気ないことが、実は一番の強みなのです。

ここまで取り組めば、ご自身への理解もかなり深まるはずです。

 

自問自答を繰り返して、迷わず行動に移せる自分を手に入れよう

自己理解が不足すると、人は判断を誤ります。一方で、自己理解ができている人は、自分の「興味」「能力」「価値観」を理解しているため、必要な情報にも自然とアンテナが立つようになります。

まずは、ご自身を知ること。そして、その上で帰国後の働き方を考えてみてください。

・フルタイムで働くか
・時間を決めて働くか
・組織で働くか、フリーランスか
・何のために働くのか
・どの業界・職種を目指すのか

自分をしっかり理解できていれば、これらの選択もしやすくなります。

M子さん、あなたのキャリアをデザインできるのは、あなた自身です。

機会があれば、同じ帯同生活を送っている方とのディスカッションや、私のようなキャリアコンサルタントとの面談を通して、さらに自己理解を深めることもできます。

私自身も、帰国前にはオンラインのワークショップに参加し、自問自答を繰り返しました。そして帰国後は、迷うことなく行動し、仕事を再開しました。

ちなみに、私が海外生活で培き、磨きをかけた強みは「回遊性行動力」です(笑)。

M子さんらしいキャリアを築けるよう、心から応援しています。

Written by 岩井真理(日本)


真理さんに直接相談したい方は、aries.mariwai@gmail.comへご連絡ください。

コラムに掲載するお悩みは随時募集しています。真理さんのアドバイスを受けたい方は、お問い合わせフォームからご送付ください。


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