
夫の実家の庭で
こんにちは。スイスに8年、ドイツも8年目。会社員をしながら、愛する家族とヨーロッパを旅するように暮らす、Towamiです。
私がどうやって今の生き方に辿り着いたのかを、自分自身の記録として、そして、「海外で働きながら、自分らしく生きてみたい」と思っている方に、何かヒントになればという思いで綴っているストーリーの第7回です。
第1回:私の海外移住の原点。ヨーロッパで生きる私の選択と気づき
第2回:「海外に行きたい!」挫折から駐在を掴むまでのリアル体験
第3回:海外移住の理想と現実。孤独なジュネーブ生活を救ったサルサとフランス語
第4回:スイス・ジュネーブで雑用係だった私を変えた上司から学んだこと
第5回:「世間の正解」を捨てた私がスイスで自分らしい人生を築くまで
第6回:自己肯定感を高めてくれた、理想のパートナーシップとは?
前回は、スイスで夫と出会い、結婚するまでを書きました。
私たちの結婚式は2018年9月、フランス・ボルドー近郊で挙げました。
教会でのカトリック式結婚式の後、ソーテルヌのワイン畑の真ん中のシャトーホテルでディナーをしました。手作り感満載のフランスの結婚式については、以前の記事をご覧ください。
フランスで結婚式を挙げるのに必要なこと 前編
フランスで結婚式を挙げるのに必要なこと 後編
私たちの結婚生活は、その幸せな余韻に浸る暇もなく、ドイツへの引越しから始まりました。

フランクフルト移住すぐに撮ったマイン川の景色
以前にも書いたように、私はスイスで暮らし続けるつもりでいました。私は現地採用へ切り替え、スイスでの永住権を取得し、現地の大学でMBAにも通い、スイスで人生の土台を作ってきました。
ところが、その頃ブレグジットの影響で会社の方針が変わります。
EU圏内で事業を行うための体制変更が行われ、私はドイツ・フランクフルトへの転勤を打診されました。打診されたのは結婚式を予定していた前年の末でした。
一生を過ごしたいと思った、愛するスイスからの移住。この転勤については、それだけで一つの記事が書けるほど悩みました。
最終的に受け入れることを決め、結婚式からわずか一か月後の2018年10月末、私たちは二人でドイツへ引っ越しました。
結婚、新生活への不安、そして思わぬ海外転勤。この時期は短期間に人生の大きな出来事が重なり、本当に慌ただしい日々でした。
色々な不安が一緒になり、今までなかったほど肌がぶつぶつになったほどでした。

新生活への不安やジュネーブへの寂しさを緩和してくれたフランクフルトの美しい紅葉
ドイツに来てからの私たちは、いつも一緒に行動していました。週末に出かけるのも、旅行も二人。
私が習いたいと言って見学に行った茶道は、付き添いで来てくれた夫も一緒に習うことに。ドイツ語の語学学校にも一緒に通いました。コロナ禍で外出できなくなってからも、長い時間を家で一緒に過ごしました。
今思えば、ドイツで友達があまり増えなかった理由は、私たち二人だけで生活が完結していたからだと思います。
長い時間を一緒に過ごすと、関係が悪くなる夫婦も少なくありません。でも、私たちは違いました。穏やかで、楽しくて、「一緒にいること」が当たり前の毎日でした。
そして、ドイツへ来てから、私は仕事がますます楽しくなりました。
「もっと成長したい!もっと結果を出したい!できることはすべてやりたい!」そんな気持ちで、毎日夢中になって働いていました。
もちろんストレスもたくさんありました。でも、不思議なくらい体を壊しませんでした。
私が思い切り仕事に打ち込めたのは、夫のおかげだと思っています。
夫は心理療法やエネルギー療法を学んでいて、私が疲れて帰ってくると、心や体が少しでも楽になるようにケアをしてくれました。仕事で悩めば相談に乗ってくれました。
彼自身も以前、金融機関で営業部門の責任者を務めていた経験があるので、営業のやり方や、チームの作業分担などについて、実務的なアドバイスをくれることもありました。
仕事から疲れて帰ると、美味しい料理を毎日作ってくれる。オフィスまで送り迎えをしてくれる。困った時はどんなジャンルの話も聞いてくれる。解決策を一緒に考えてくれる。
その積み重ねがあったからこそ、私は安心して仕事に打ち込み、ここまで走り続けることができました。

フランクフルトの美しい紅葉、自然が心を癒してくれました。
私は、もともと「絶対に子どもが欲しい」と思っていたわけではありませんでした。
妊娠が分かる少し前の週末には、夫に「私は今の人生がすごく充実している。この生活を変えたくないから、やっぱり、子どもは必要ないと思う」と言ったばかりでした。
なので、妊娠が分かった時は本当に驚きました。嬉しいというより、戸惑いの方が大きかったのです。
妊娠を受け止めきれず、不安すぎて、気持ちが大きく落ち込んだ時期もありました。
一度は、「この妊娠を続けられないかもしれない」と思いながらも、その一方で、「せっかく授かった命を、自分の意思で終わらせることを選んだら、人を殺したような気持ちになってしまう」そんな本音を、夫に打ち明けました。
すると夫は、とても静かにこう言いました。
「もし続けないという選択をするなら、それは君一人の責任じゃない。二人で決めたことになるから、僕たち二人の責任だよ」
その言葉は、今でも忘れられません。きっと夫も、たくさんの思いがあったはずです。
夫はずっと子どもを望んでいて、ありがたく授かった命でした。それでも、自分の気持ちを押しつけることなく、まず私の心を一番に考えて、支えてくれました。
「落ち着いて、ゆっくり一緒に考えよう。君がどんな決断をしても、僕はいつも君の味方だよ」
そう言ってくれたことが、どれほど救いになったか分かりません。

妊娠5ヶ月でインド旅行へ。「来週からインド行くんだ」と言った時、産婦人科の先生が口をあんぐり開けていたことを忘れません。
最終的に私たちは、子どもを迎えることを決めました。その決断を心から良かったと思っています。
人生が変わることが不安でいっぱいだった私の人生は、何百倍も幸せなものになりました。
私は出産直後、大量出血でしばらく思うように動けませんでした。
その間、夫はおむつ替えも、夜中の赤ちゃんのお世話も、すべてこなしてくれました。
病院から出てからも、「君の体が回復するのが一番大事だから」と、息子の世話を一身に引き受けて、私がなるべく休めるように全力を尽くしてくれました。
結局、出産から4か月で私は仕事に復帰し、5か月後には泊まりがけの海外出張も再開しました。今でも週に何日も海外へ泊まりで出張しています。
そんな働き方を続けられているのは、夫が家で息子をしっかり見てくれているからです。
息子が小さい時は夜泣きの対応をしてくれ、家事、育児もこなします。台所の片付けと洗濯は、なぜかいつも後回しになっていて私がやりますが….。
私が週末の朝にジョギングに行きたいと言えば、「行っておいで」と送り出してくれます。仕事で海外へ行く時も、「頑張ってきて」と笑顔で送り出してくれます。
もし夫がいなかったら、私は今のような働き方は絶対にできなかったと思います。

出産する1週間前に行ったガルダ湖。まさかそんな早く産まれると思わなかったので飛行機に乗ったりしていました。
「頑張り続ける人は、小さい頃に、特に父親に十分認めてもらえなかった経験があるので、成果を出して、認められるように大きくなっても努力をし続けてしまう」と心理学では言われます。
私自身、はっきりとした記憶があるわけではありません。でも振り返ると、学生時代も、仕事も、資格も、語学も、ずっと「もっと頑張らなきゃ」と思って生きてきました。
頑張って認められたら、また次を目指す。その繰り返しでした。
そんな私にとって夫は、初めて「頑張らなくても大丈夫」と思わせてくれた人です。
成果を出している私だけではなく、どんな私も、「無条件で愛してくれる」。言葉と行動と態度で、毎日毎秒それを伝え続けてくれました。
その「無条件で愛してもらえる」安心感は、大人になってから初めて手に入れたものだったのかもしれません。
最近、ふと「理想のパートナー」を書き出してみようと思いました。私のメンターである小田桐あさぎさんが勧めているワークです。
理想を書き始めると、あることに気づきました。
「理想のパートナー」の条件を書きながら、夫の性格やあり方と照らし合わせて「これも理想だ」「これも理想だ」と確認する作業のようになっていたのです。
書き終わって、夫への感謝が溢れてきました。もちろん夫も完璧ではなく、「もっとこうだったらいいな」と思うこともあります。
それでも、不満よりも、「こんなに理想のパートナーでいてくれて、ありがとう」と、心から思えたのです。

出産した病院のテラスからの「マインハッタン」の風景
夫は、私にはない価値観をたくさん持っています。
私なら選ばないことを選び、私なら使わないお金の使い方をし、その結果、私一人では出会えなかった景色や経験をたくさん見せてくれます。
家計を支えているのは私かもしれません。しかし、指示や判断に迷った時など、本当に大切なことがあると、私はいつも夫に相談したくなります。
息子は、夫と過ごす時間がとても長く、自己肯定感が高く、いつも笑顔で、初めて会う人にも自然に話しかけます。
そんな姿を見るたびに、父親という存在の大きさを感じます。
私はよく、「今の私の人生は、半分は夫が作ってくれたものだ」と思います。
仕事を頑張れること。好きなことに挑戦できること。安心して海外へ出張へ行けること。そして、笑顔いっぱいの息子がいること。
どれも私一人では実現できませんでした。一人で頑張ることしか知らなかった私に、「支え合う」という人生を教えてくれたのが夫でした。
だから今日も私は、自分の好きな仕事に挑戦し、大好きな家族と笑いながら暮らしています。それが、私にとって何より幸せな人生です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。私が今の生き方に辿り着くまでの物語はまだまだ続きます。
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Written by Towami(ドイツ)