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カウンセリングでは何を話せばいい?「話すことがない」のも大切なサイン

2026年9月11日
佐古祐子 (アメリカ)

何を話したらいいかわからないクライアントたち

私はカリフォルニア在住のアジア系アメリカ人専門の心理セラピストとして活動しております。

これまで出会ってきた多くのクライアントさんが、「うちの親は”Typical Asian Mother”だったんだよね…」と打ち明けてくれます。

この文脈での「Typical Asian Mother(典型的なアジア系の母親)」とは、日本の文化の中で言うところの、「実はさー、うちの親って”毒親”なんだよねー」に似ているような気がします。どちらも、

「うちの親は全然話を聞いてくれるタイプじゃなかった。”あたたかさ”とか”つながり”よりも”役割”とか”ちゃんとすること”の方が大事だった。それに対して私は思うところがある」

と言っているという意味で、とても似ている文脈で使われていると感じます。

「典型的なアジア系の母親」に関するクライアントの思いや体験は、いくつか例を挙げると、以下のようなものが代表的です。

・成績優秀であることに重きを置き、子どもの頃から学業や学歴に関するプレッシャーをすごく感じていた
・母は私が経済的、社会的に成功することへ強い思いを抱いている
・心理的ストレスや、こころのサポートを必要としていることに気づいてもらいにくかった
・親は話を聞いてくれないので、子どもの頃は頼れる大人が周りにいなかった
・子どもの頃はいろいろ制限されて、すごく不自由だった(習い事ばかりで自分でいろいろ模索する余白がなかった)
・子どもなのに子どもらしくいられる時間がなかった
・感情的にサポートが必要な時でも、「泣くな、感情的になるな、とにかくやりなさい」というメッセージを親から受け取ってきた

このように育ってきた方々は、「感情的になってはいけない」「とにかく結果を出さねばならない」「論理的で合理的でならねばならない」と強く信じていることが多いです。

自分を表現することに、慣れていないのです。それは、許され、受け入れられることではなかったから。

その結果、「なんだか心理セラピーが必要だと思うのだけれど、何を話したらいいかわからない」となっても当然だと思っています。

 

「何を話したらいいかわからない」と言えることは、とても大切なこと

実際、「何を話したらいいかわからない」「今日は、何を話したらいいかわからなくて…」「話すこと…うーん、ないですね」と、セラピーの時間が始まって、そう言われることがあります。

私はその言葉を聞くと、少しほっとします。

もちろんセラピストとしては、「今日はどうだったかな」「何か変化はあったかな」と、いろいろ考えながらセッションを始めます。

でも、クライアントが「何を話したらいいかわからない」と言えることは、実はとても大切なことだと思うのです。

セラピーに来る人は、最初から自分の問題を説明できるとは限りません。

むしろ、「何かつらい」「なんとなくしんどい」「最近イライラする」「自分でもよくわからないけど、ここに来てみた」という人のほうが多いのかもしれません。

それなのに私たちは、悩みを相談する時でさえ、きちんと説明しようとしてしまいます。

「こんなことを言ったら変かな」
「もっと大変なことを話したほうがいいかな」
「うまく説明できないと、ちゃんと話を聞いてもらえないかも」

こんなふうに。

 

「何でもいい」と言う言葉から見えてくるもの

セラピーで「最近どうですか?」と聞くと、「特に何もないです」「大丈夫です」「何でもいいです」と答える人もいます。

もちろん、本当に何もない日もあります。

でも、話していくうちに、「何でもいい」という言葉の中に、その人らしさが見えてくることがあります。

自分の希望を聞かれても「何でもいい」。
何を食べたいか聞かれても「何でもいい」。
どこに行きたいか聞かれても「どこでもいい」。

相手に合わせることが当たり前になっていて、「私はどうしたい?」と考えること自体が、少し難しくなっている。

そんなこともあります。だから、「何を話したらいいかわからない」という言葉を、私は単なる「話題がない」という意味では受け取りません。

その人が、これまでどんなふうに自分の気持ちと付き合ってきたのか。

そんなことを知る入り口になることがあります。

 

セラピーでうまく話せなくてもいい

私は、セラピーを「自分の悩みをうまく説明する場所」だとは思っていません。

言葉に詰まってもいい。話があちこちに飛んでもいい。途中で「何を言いたかったのかわからなくなりました」となってもいい。

泣いてしまってもいいし、逆に何も感じない日があってもいい。

「今日は話すことがありません」と言ってもいい。

セラピストと一緒に、「じゃあ、今ここで何が起きているんだろう」と眺めてみる。

それだけでも、十分セラピーになると思っています。

私たちは普段、誰かと話す時に「相手にわかるように話す」ことを求められます。

だからこそ、自分の中にあるものをまだうまく説明できないまま、誰かと一緒に眺める時間があってもいい。

「何を話したらいいかわからない」という言葉の先に、まだ本人にも見えていない気持ちがあるかもしれません。

そして、その気持ちを一緒に見つけていくことも、セラピーなのだと思います。

 

「何を話したらいいんだろう」と不安になったら

もしあなたがこれからセラピーを受けることになって、「何を話したらいいんだろう」と不安になったら。

まずは、「何を話したらいいかわかりません」と言ってみてください。

それだけで、セラピーはちゃんと始まります。

あなたの「わからない」の中に詰まっている「何か」を、「うーん、なんなんだろうね」とセラピストと二人で一緒に、いろいろな角度から興味を持ってみると、興味深い体験につながるかもしれません。

【カリフォルニアにお住まいの方、ぜひお気軽にセラピーをお試しください】

「どう説明すればいいかわからないけど、なんか辛くて、セラピーをやってみようと思っている」
「どうせ言ってもわかってもらえないかも」と思って、話すことを諦めてきたことがある。
「言ってどうなる? 解決するの? できることは何もないけど……」と感じているけれど、心のどこかでいつも「そのこと」を考えている。

口に出してみると、何か違う体験ができるかもしれません。お待ちしております!

私の英語版プロフィールはこちらです。

セラピーを受けてみたいけど、手続きがよくわからない等のお問合せはこちらからお待ちしております。

Written by 佐古祐子(アメリカ)

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