
クアラルンプールからこんにちは。土屋 芳子です。
マレーシアで仕事をしていると、「日本のものをマレーシアで紹介したい」という相談をいただくことがあります。
・日本の食材を輸出したい企業
・日本のシェフの料理をマレーシアで紹介したいホテル
・地方の食品や器など、日本の魅力を海外に伝えたい企業
私は現在、フードコンサルタント、コネクター、そしてPR・マーケティング会社の代表として、こうした人や企業をつなぐ仕事をしています。
私が大切にしているのは、単純に「日本の良いものをマレーシアに持ってくる」ことではありません。
どうすれば、マレーシアの人にその価値が伝わるのか。どうすれば、記憶に残る体験になるのか。そして、どうすれば最終的にビジネスにつながるのか。
それを考えて、企画を作ります。
今回、その仕事の一例となったのが、130年の歴史を持つ日本の川魚専門会社「鯉平」と、シャングリ・ラ クアラルンプールの「Zipangu by Nadaman」をつないだ、うなぎプロジェクトでした。
ここの滝沢シェフやホテルのチームとは、前回初めてコラボした愛媛県愛南の真鯛のプロジェクトを成功に導きました。
その際は本当に楽しく勉強になった日々だったので、また一緒に仕事ができることを心から楽しんでいます。

鯉平は1897年から続く、創業130年、五代にわたって続く埼玉県にある川魚専門会社です。(鯉平ホームページ)
職人が全国各地からその時々で最も良いうなぎを選び、手作業で捌き、串打ち、焼きまで行う。日本のうなぎの名店にもOEMで商品を供給している、まさに「うなぎのプロフェッショナル」です。
今回、その鯉平のうなぎが、マレーシアのレストランで初めて提供されることになりました。
舞台はシャングリ・ラ クアラルンプールのZipangu by Nadaman。
料理を担当するのは、なだ万で30年にわたり経験を積み、帝国ホテルでも料理長を務めた滝沢和夫シェフです。
ここで私たちが考えたのは、「高品質なうなぎを、どうマレーシアの人に知ってもらうか」ということでした。
実はマレーシアでは、うなぎは決して珍しい食材ではありません。甘辛い味付けが好まれるマレーシアでは、蒲焼の味はみんな大好きです。
一方で、一般的に流通しているうなぎは比較的リーズナブルな価格帯の商品が中心です。
そこで今回、単純に「高級なうなぎです」と伝えるのではなく、「素材そのものの味を体験してもらおう」と考えました。
その答えの一つが、マレーシアではまだ馴染みの薄い白焼でした。
蒲焼のタレで味わううなぎではなく、うなぎそのものの香りや脂、食感を感じてもらう。
そして、メディアプレビューでは、生わさびを一人ひとりが自分ですりおろす体験も取り入れました。
前菜で出す鰻の手巻き押し寿司の海苔はその場で炙り、香りまで楽しんでもらう。
つまり、料理を「食べてもらう」のではなく、五感で日本の食文化を体験してもらう。
そこまでが、今回のプロモーションでした。
滝沢シェフが中心となり、何度も考え抜いて話し合いを重ねて内容を組み立てていきました。

企画の初期段階では、ホテル側から「うなぎのコースだけでは少し地味なのでは」という声もありました。
そこで、以下を用意することになりました。
・130年の歴史を感じてもらえるテーブルマット。鯉平についてよく分かる動画のQRコードを入れたもの。
・日本らしさを演出する扇子
・鯉平からのメッセージを込めたメニューカード
これらを日本の広告代理店によって仕上げ、鯉平が供給してくれることになりました。
料理そのものだけでなく、テーブルに座った瞬間から「日本」を感じてもらえる空間を作りました。
こうした細部の積み重ねがブランドの印象を作り、「誰が、どんな想いで作っているのか」「なぜ、これをマレーシアで食べる意味があるのか」そこまで伝わって初めて、商品の価値が伝わります。
結果は、想像以上でした
メディアプレビューでは、白焼も、生わさびを自分ですりおろす体験も、多くの方にとって初めてでした。
会場では自然と会話と笑顔が生まれました。そして、参加者の約2〜3割からは、「蒲焼よりも白焼の方が見好き」という声がありました。
これは私達にとって、予想以上でした。
「今まで食べたうなぎ料理の中で最高の経験だった」という感想も複数いただき、とても嬉しい結果でした。
これは単に「高級なうなぎが売れた」という話ではありません。
日本では当たり前のように存在する食文化の魅力を、別の文化圏の人にどう伝えるか。
その答えを、マレーシアの人たちと一緒につくることができたプロジェクトだったと思います。

今回の鯉平のプロジェクトは、私にとってシャングリ・ラ クアラルンプールとのコラボレーション第2弾でもあります。
数か月間にわたって、企画、メニュー開発、プロモーション、メディアプレビュー、KOL、Reels、コンテンツ制作、販促ツール、そして現場運営まで行いました。
一つのプロジェクトが形になるまでには、表には見えないたくさんの仕事があります。
でも、その先にあるのは、「こんな日本の食材があるんだ」「こんな食文化があるんだ」という、誰かの新しい発見です。
そして、その発見が次のビジネスにつながっていく。
私はこれからも、食を入り口に、日本とマレーシアの人、企業、地域、文化をつないでいきたいと思っています。
日本の食材や地域産品、食器などをマレーシアで紹介し、ビジネスにつなげたい企業の方、また、マレーシアで期間限定のコラボレーションイベントを開催したいシェフの方で、「こんなことをマレーシアでやってみたい」というアイデアがあれば、ぜひご相談ください。
私のインスタグラムメッセージにてご連絡ください。
【The Golden Standard of Japanese Unagi】
場所:Zipangu, Shangri-La Kuala Lumpur
開催期間:10 Sep 2026 – 30 Sep 2026
ご予約はこちらのホームページから
ランチメニュー:
3-Course Set Menu: MYR 290
5-Course Set Menu: MYR 398
ディナーメニュー:
À La Carte Menu: From MYR 180
3-Course Set Menu: MYR 290
5-Course Set Menu: MYR 398
Written by 土屋芳子(マレーシア)