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20歳の世界一周(仮)ギリシャで過ごす一人きりのビーチとミステリーな夜

2026年9月21日
高倉舞 (イタリア)

風の谷のナウシカの故郷、ギリシャ、ケルキラ島

20歳の頃、仕事を辞めて、世界一周(仮)をし、その時の様子を旅エッセイのように連載しています。

「(仮)」というのは、日本を出発し、シェンゲン協定の上限である3か月間ヨーロッパをうろうろし、その後アメリカに渡り、知人を東西南北訪ねて歩いた結果、気付けば地球を西回りでぐるっと一周していたからです。

いつか五大陸制覇を叶えたいという思いもあり、将来への期待も込めて「(仮)」としています。

第1話:スマホなし、計画なし、20歳の世界一周(仮)
第2話:20歳の世界一周(仮)第1日目、パリ
第3話:20歳の世界一周(仮)バルセロナで迷子になる

バルセロナで街をたっぷり堪能した後、今度は自然を浴びにギリシャにあるケルキラ島(コルフ島、Corfu)へと向かった。

着いた宿は、可愛らしい一軒家だった。私が泊まった部屋には専用のバルコニーがあり、そこから庭へとつながっていた。

シャワーとは別にバスタブもついており、「久しぶりに湯船に浸かれる!」と正直かなり浮かれた。お湯が見たこともない黄緑色だったのはまた別の話である。

さて、ケルキラ島はヨーロッパではリゾート地として有名らしく、また「風の谷のナウシカ」の故郷としても知られる島だ。

ただ、私が訪れたのは10月の中旬。そして、ちょうどコロナの時期でもあった。

閑散としていた。それも、かなり。

この素敵な宿が一泊3,000円だったことからも、その様子はなんとなく想像していただけると思う。

エメラルドグリーンの海が広がるビーチへ行っても、誰一人いない。この島にいた観光客は、私一人ではないかと疑うほどだった。

 

ギリシャの伝統料理を食べる

初めてのギリシャ。せっかくなので、景色が良いと評判のレストランでギリシャ料理を食べることにした。

昼時に向かったが、やはり客は私一人。注文したのは、ギリシャや東地中海で食べられる伝統料理のムサカ。

見た目はというと、私たちがよく知っているラザニアに瓜二つである。店主によれば、ラザニアのパスタシートの代わりに、野菜を使った料理なのだという。

私が食べたものは、ナスとジャガイモ、そしてラムのひき肉が層になったものだった。

そして、タラモサラダ。日本でも前菜として耳にするタラモサラダだが、その起源はここギリシャにあるらしい。

ただ、日本ではタラコとジャガイモをマヨネーズなどで和えたサラダを指すのに対して、ギリシャではタラマと呼ばれるボラなどの魚卵の塩漬けが主な材料で、パンや野菜でディップして食べる料理だという。

「同じ名前をしているのに、海を越えるとずいぶん姿が違うんだな」そんなことを思いながら、本場のタラモサラダをいただいた。

食後、帰り道に見つけた草むらに腰を下ろした。

持ってきた本を開いて、1行目で閉じた。そのまま、ごろんと寝転び、空を眺めながら、しばらく何もせずにいた。

無職ここに極まれり、であった。

 

はじめましての馬と仲良くなる秘訣

また別日、海辺で乗馬ができることを聞きつけ、即座に予約を入れた。

ファームに着くと私を乗せてくれるという馬が、どんどんどんどんこちらへ近づいてくる。

馬は人を選ぶという。そうか、私に心を許してくれているのか。

そう思って喜んだのも束の間。「好かれている」という次元を超えて、どうも様子がおかしい。

なにやら口をモグモグ動かし、私を食べようとしているようなのだ。困惑していると、なにやらインストラクターの人も困惑している。

どうやら、誰もこの状況を理解していなかった。が、おそらく。

おそらく香水のせいだった。その日、私が日本から唯一持ってきていたハーブ系の香水をつけていた。

恐るべし、ロクシタン。馬まで引き寄せてしまうとは。

かなり本格的に研究開発されているのだろう。ますますロクシタンのファンになった出来事であった。

そんなこんなで、この島では自然の中、一人のらりくらりとのんびりと過ごした。

 

ギリシャ最後のミステリー晩餐

最後の夜は、ケルキラ島の旧市街にあるホテルに泊まった。こちらは大分賑やかで、「皆どこに隠れていたんだ」と目を疑った。

せっかくなので、持ってきたワンピースにも出番を与えようと、さっそく着替えて街へ繰り出した。

なんといっても一張羅である。その辺のケバブで済ませるわけにはいかない。

通りに面した、雰囲気のいいレストランに席をついた。

持っていたカメラでパシャパシャと写真を撮り、机の上に置く。そして、いつも持ち歩いている小さなノートを開き、他愛のないことをつらつらと書き綴っていた。

それが、その後起きることに影響したのかどうかは分からない。

ほどなくして、店員がやってきた。ただ、その時私はカルボナーラにするか、シーフードにするかで迷っていて、なかなか決められずにいた。

そのことを伝えると、「それなら、半分ずつにしましょうか!」と、店員がにこやかに提案してくれた。

「なんて親切な人なんだ!」ところが、料理が運ばれてびっくり仰天である。

まさかの、正規の量のカルボナーラと、正規の量のシーフード料理。二皿である。

「女一人で食べきれるかあ!」とツッコミを入れたものの、しっかり全部食べ切ってしまった。

お会計はやはり一皿分。「特別だよ!」と言われ、レシートを渡された。

「な、なぜ、そこまでしてくれる」先ほど食べたシーフードの余韻に浸りながら少し考えてみた。

机の上にはカメラ。そして、ノート。メモをとる様子。

……もしかして。ミシュランの覆面調査員にでも見えていたのではないだろうか。

そう考えると、なんだか合点がいく。真相は分からない。

ただ、もし皆さんもどこかのレストランで、店員さんから謎の手厚いサービスを受けたいと思ったら。

一張羅を着て、カメラとノートを机の上に置き、ぜひ小難しい顔でメモを取るフリをしてみてほしい。

次回のコラムは弾丸スロバキア&オーストリアのウィーンでお会いしましょう。

現在、インスタグラムで留学生活の様子や旅、日々書いているジャーナルノートを発信しています。ぜひ覗いてみて下さいね!

Written by 高倉舞(イタリア)

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