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”言葉だけでなく、ブラジル文化や習慣も伝えたい” 星淳子さん(日本)

2021年10月12日

とにかく社会に戻るために、今できることを

「子育てがひと段落したら働こう!」という気持ちがむくむく湧いてきました。

「社会人の話が聞きたい」と思い、社会に出たい気持ちが大きくなればなるほど、何をしたらよいか分からず、ブランクの長さに怖くなりました。

夫は働くことを推してはくれましたが、全ては自分が優先、何かしてくれるわけではなく、結局、家事育児に加え、仕事をするハードルが高かったと言います。

働くとなれば、歯科医師としてのプロ意識はあります。しかし、日本のライセンスを正式取得していないので、治療はできません。

ちなみに、アメリカならブラジルの履修単位を振り替えて歯科医師の資格が得られるので、それも考えたようですが、現実的ではありませんでした。

専門職への復帰は難しいし、何ができるかを考えて、医学や歯学関係の翻訳の仕事をしつつ、語学教師としてポルトガル語を教えることを選びました。

実は、何でも背中を押してくれた母も、この時ばかりは「何のために大学院まで行かせたの?」と、ナターリアの社会復帰の一歩を、必ずしも喜んではくれなかったようです。

それでも彼女の中では「これはワンステップ。とにかく社会へ戻るために、今できることをしよう」と、それから10年、社会の仕組みや教え方を学びました。

 

仕事の目的は「人への貢献」

ナターリア(左)と筆者(右)

そして、3年前「自分で何かやりたい!」という思いを胸に、ナターリアは起業しました。

「もちろん、語学は大切です。でも、渡伯する人達に伝えたいのは、言葉だけではありません。生活そのものや、文化や習慣も知ってほしいのです。そこに生きる人達を理解することが、現地の生活をスムーズに送ることに役立つのです。現地ネットワークも使って、医師や歯科医師とも繋ぎます」ということで、コンサルティングの会社を始めたのです。

ナターリアの仕事の目的は「人への貢献」です。語学+文化・生活+医科歯科サポートと、これまでの彼女の人生の全てを使って、祖国ブラジルと日本を繋ごうとしています。

そんな彼女の志に共感して、私もこのビジネスモデルに協力しています。私の専門キャリアコンサルティングやメンタルのフォローを、このビジネスの中で担当しています。

私自身、ブラジルへ行く前に持っていた不安や、滞在中に感じた揺れる気持ち、そして帰国が決まってからの落ち着かなさ、同じような気持ちの方達を支援していきたいと思います。

「フィジカルとメンタル」両面で人を支えようとする気持ちは、私もナターリアも同じです。

ナターリアはあのままブラジルに居たら、歯科医師としてそれなりのポジションにいたに違いありません。しかし、日本に来たことで、何もないゼロから這い上がりました。

「日本に来て良かった」と彼女は笑顔で言います。出会った人全てが自分の先生だと、感謝の気持ちも強いのです。結果が出るまで突き進む力や、人の言う事を気にしない、いい意味での鈍感力が、ナターリアの魅力です。

「日本人は先のことを考えすぎる」と彼女は言います。「もっと今を楽しめば、楽になるのに」という彼女の言葉に、私はブラジル人っぽさを感じて、少し笑ってしまいます。私も参加するナターリアのビジネスは、こちらです。

星 淳子(ほし あつこ)
日本・東京在住
H&Aコンサルティング代表

Interviewed by 岩井真理(日本)

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