皆さんこんにちは。Living Like a Local のAiです。
海外生活が長くなると、日本人であれば誰でも恋しくなるのが「温泉」ではないでしょうか。
カナダにも天然温泉がいくつかあります。
私の住むバンクーバ−から一番近い温泉といえば、Harrison Hot Springs(ハリソン・ホット・スプリングス)。車で片道2時間程度とアクセスしやすく、ホテルも完備されているリゾート地として有名です。
カナダの温泉は日本のような、硫黄の匂いもせず、水着も着用するため、温泉というよりは温水プールに近い感じでしょうか。
さて、今回ご紹介するのは、観光化された有名どころじゃありませんよ!!
ローカルの間でもあまり知られておらず、ウェブで検索しても、詳細はなかなかヒットしない、とっておきの「秘湯の湯」。
「秘湯」というよりはむしろ、「秘境の湯」の方が正しいかもしれません。
こちらの温泉、辿り着くまでがとにかくサバイバルなんです。
まず、はじめにお伝えしなければいけないのは、こちらの温泉へは一般的な乗用車では辿り着けない場所です。トラックまたは車高の高い4WDではないと、 無事に帰還することはできないので覚悟を持って向かってくださいね。
インディ・ジョーンズの世界さながらの道のり!
私たちが向かう先、秘境の温泉はClear Creek Hot springs(クリア・クリーク・ホットスプリングス)。
温泉リゾート地のHarrison Hot Springs (ハリソン・ホット・スプリングス)から、北へ約3時間以上。それも、山の中の舗装されていない砂利道、凹凸のあるガタガタ道を進みます。
車は砂埃にまみれ真っ白になりながら、Harrison Lake (ハリソン・レイク)の絶景を眺めながらのドライブが永遠と続きます。
しかし、そんな景色を楽しむ余裕は私には全くありません。一歩ハンドルを切り間違えてしまえば、崖へと真っ逆さま!死の恐怖と隣り合わせのドライブは本当にスリリング。
道が陥没している難所が至るところにあり、おそらく乗用車であれば、車の底を擦るのはおろか、タイヤがスタックして前に進めないでしょう。
土砂崩れがあったのでしょうか、至る所に大きな岩が転がり落ちているいたり、山から流れる川を横切って渡らなければいけない場所もあります。
まさに、インディ・ジョーンズの世界!!あの有名なテーマ曲が頭の中でずっと流れていました。
ディズニーパークのアトラクションのインディ・ジョンーズ・アドベンチャーをイメージしていただければ想像がつくと思います(笑)
まさに天然の手作り温泉
かれこれガタガタ道を3時間ほど走ったでしょうか。川のほとりにトラックや、車、3輪バギーがちらほら駐車してある場所が見えてきました。
特に温泉地を示すサインもないので、知らなければ通り過ぎてしまうような、そんな場所です。川の近くではテントを張り、キャンプをしている家族もいます。
車を停めて、深呼吸し、辺りをぐるっと見渡しても、あれ、温泉らしきものが見当たらない。
数分ほど坂を登り、山の中へ進むとその先に、木の樽で作られたバスタブ一つとプラスチックのバスタブが二つ、ひっそりと佇んでいるではありませんか。
ラッキー、誰もいない!!貸切温泉だ!!
温泉は山からパイプでダイレクトに一つ目のバスタブに繋がれ、そのバスタブから二つ目、三つ目と順に流れていく方式。一つ目のバスタブが一番温かく、三つ目の木の樽は、温度が低めになっていきます。
温泉使用料も無料で、まさに天然の手作り温泉といった感じでしょうか。カナダでは日本のように裸で入ることはなく、水着を着用しての混浴です。
お湯は無色透明で、匂いもありません。温度が少し熱かったので、半身浴で十分気持ちよかったです。
小鳥の囀りを聞きながら、大自然の中、ドライブで疲れた体を癒していると、男の人たち4人が大きなスピーカーとビールと、そして作業用の道具を片手にやってきました。
温泉に入りにやって来たのかと思いきや、軽快な音楽を鳴らしはじめ、ビールを飲みながら、何やら陽気に作業を始めていきます。話を聞くと、ここの温泉が大好きで何回も来ているそう。
バスタブに穴が空いているので、今日はここの温泉愛好家の友達と皆んなで修理に来たのだという。木の樽のお湯も抜き始め、お掃除もしてくれています。
「僕たちが修理しないと、誰も温泉に入れなくなるからね。ここの温泉が大好きだから、僕たちはなんでもするんだよ!」
偶然出会った彼らによって、この温泉は、ローカルの愛好家によって、守られ続けているという心温まるエピソードを知り、胸が熱くなりました。
このコラムを読んで、Clear Creek Hot Springs に興味を持たれた方にお願いです。
一度足を運んだことのある方、土地に詳しい方と一緒に行かれる事をお勧めします。もし、途中で車が破損したり、動かなくなったりした場合、携帯の電波も繋がらないので非常に危険です。
カナダでサバイバルな温泉、本物の天然温泉を目指したい方には、ぜひおすすめです!
Written by 矢寺愛(カナダ)